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ひとつやねのした
第1章 ひとつやねのした
怖かったんだろうな…
「なんだよお前!邪魔してんじゃねぇよ!」
「俺は美咲の兄だ。妹に触るな」
「は?お前が?適当なこと言ってんじゃねぇよ!部外者は引っ込んでろ!」
そいつの膝が腹を直撃した。
「グッ…」
「龍君…大丈夫?」
クソ…喧嘩なんてしたことないからめちゃくちゃ弱い俺…
でも美咲は守らないと…
俺は美咲を自分の後ろに押しやった。
すると、同じ場所に拳を食らった。
「オイ!テメェ………よくも……俺の大事な龍に……許さねぇ!!」
そこに現れたのは裕也だった。
すると、裕也はその先輩を反撃の隙を与えることなくあっという間にぶっ飛ばした。
「ひいぃぃ!ごめんなさい!」
「…美咲ちゃんと龍にもう近付かないって誓え」
「ハイ!誓います!許してください!」
「なら…さっさと消えろ!」
その先輩は情けない姿で逃げていった。
俺達も階段の下にいた女子達も裕也の豹変ぶりにポカンとしてしまった。
「……龍ー!美咲ちゃんー!大丈夫だった?」
裕也は俺に抱き付いた。
「お…あぁ…全然平気」
美咲は後ろから俺の腕に掴まって頷いた。
「あ、美咲ちゃん…俺怖がらせてるよな…あんなところ見せちゃってごめんな?」
「み、美咲…裕也は普段こんな感じだから…怖がらなくて大丈夫」
「…う、うん…」
「あ、そうだ。美咲ちゃんあいつとつき合ってたんだよね?ごめん!龍が殴られて頭来ちゃって…」
「……その……つき合ってないから…大丈夫」
「そうなの!?なんだ!」
「えっと…ありがとう……すごく助かりました……じゃあ、今日は帰ります…」
美咲はそう言って行ってしまった。