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犬山君
第1章 犬山君
「…よかったぁ…あの時言い損ねちゃったからずっと言いたかったんだぁ」
「…ふっ…お前名前何ていうんだ?」
犬山君は教室で見たことのない優しい笑顔でそう言った。
「え…」
あ、そうか…転入初日犬山君寝てたんだっけ…
「あ、ごめん…俺、学校の奴とまともに喋ったことなかったから名前覚えてるやついないんだ。転入生ってことは知ってるんだけど」
「そっかぁ…えっと…柚木花(ユズキハナ)です」
「花か。わかった花の名前覚えたからな」
犬山君はそう言ってまた笑った。
犬山君の笑顔好きだなぁ…
「花、昼飯食ってないだろ?」
「そういえば…」
今日朝お母さんが作ってくれたお弁当忘れちゃってお昼は買わないといけないんだった。