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無垢な彼女
第1章 無垢な彼女
「琴美ー…何で急にいなくなるんだよ?」
「……」
琴美は完全に俺を無視してしゃがみこんで花をいじくっていた。
「琴美!返事しろよ」
「…やだ」
俺は琴美の横にしゃがんだ。
「なにぶーたれてんだよ?」
「…もー!淳君とはあんまり話したくないの!」
「何でだよ?さっきまでペラペラ喋ってたくせに」
「……だって……淳君ともっと一緒にいたいんだもん」
「いればいいじゃん」
「琴美以外の女の子二人増えちゃったら…琴美、我慢しないといけなくなっちゃうもん…夜も電話でお喋りしたいのに…あと二人も増えちゃったら琴美の分少なくなっちゃうもん…」
「……馬鹿」
俺は琴美の頭をポンと撫でた。
「馬鹿じゃないもん!ちゃんと考えたら、琴美の分が少ししかなくなっちゃうのわかったもん!少しなんてやだもん…だから全部いらない」
「琴美、欲張り過ぎ…あの二人は断ったよ。全部琴美の分だから安心しろ」
「ほえ?そうなの!?わあぁ…」
膨れていた顔が一気に笑顔になった。
笑顔になったのは良かったけど俺の言葉の意味ちゃんと理解してくれているか心配だ。
「琴美、俺のこと好きか?」
「うんっ!大好き!」
「……担任の田中先生は?」
「田中先生も優しいから大好きだよー?」
「…失格。その好きは駄目だ。琴美の分なしな」
そう言うと琴美は俺の腕を掴んだ。
「なんでー!?琴美、淳君のこと好きなのに?」
「琴美の好きが俺のお嫁さんになりたい好きになったら全部琴美にやる」
「……?淳君のお嫁さん?」
「わりぃ…話が飛びすぎた。つまりこういう事だよ」
琴美の手を掴んで、俺の心臓部分に手をあてた。