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無垢な彼女
第1章 無垢な彼女

「…すごいドキドキいってるー」

「さっき走ってきたからじゃないぞ?琴美といるとこうなるんだ。俺は琴美のこと抱き締めたくなるくらいなんて言えばいいんだ?その…愛おしいんだ…」

「淳君!琴美のこと馬鹿にしてるでしょ!両想いになると彼女と彼氏になること知ってるもん!琴美のこと彼女にしたいって言ってくれればいいのに!」

「雰囲気も何もねぇな…わーったよ。琴美のこと彼女にしたいんだよ!」


すると、琴美はポロポロと涙を流した。


「な、何で泣いてんの!?」

「だってぇ……ふえぇ」

「あー…拭くもんないからTシャツな?」


制服のシャツの下に着ていたTシャツに琴美の顔を押し付けた。


「…うええぇッ…らってぇっ…ふえッ…淳君のこと初めて会ったときから…ヒッグッ…好きだったんだもん!」

「はじめて会ったのいつだっけ?」

「むうぅ…覚えてないのぉ?…入学式」

「あぁ!あの時だったか…」


確か入学式の直前にトイレに行った時に、琴美が泣きそうな顔で廊下をウロウロしてて誰かの小学生の妹が迷子になったのかと思って手を引いて教室まで連れて行ってやったんだった。

あれか?


「ヒックッ…淳君が手繋いでくれて…すっごくドキドキしたのー!」

「…そ、そうなんだ?」


小学生の迷子だと勘違いしたなんて言えない。


キーンコーンカーンコーン♪


「やべ!予鈴だ!琴美、もう少し落ち着いてから行くか?」

「ううん…授業受けるー」

「よし、じゃあ戻ろう」


今まで付き合った彼女の中で一番居心地が良い…。
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