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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏
作り終わるまで鴨宮君はキッチンの椅子に座って私のことをずっと眺めていた。
そんなに見られると恥ずかしいんですけど…
もしかして何か失敗しないか見張ってるのかな?
無事にハッシュドビーフを作り終えてテーブルに並べる。
鴨宮君はダイニングテーブルの椅子に座ると並べたおかずを全部自分の方に引き寄せた。
「あれぇ!?これは…えっと…私の分…ないのかな?」
「…違う。ここ座って」
鴨宮君の足の間に座るように言われる。
一つの椅子に一緒に座るってこと??
静かに指定された場所に座ると鴨宮君に抱き締められる。
「雄君…どうかしたのぉ?」
「ごめん……今日は優菜の事離したくない」
きっと何かあったんだろうなぁ…。
いつも鴨宮君に助けられてばっかりだし、今回は私が支えになってあげよう!
「優菜…優菜の料理食わして?」
「雄君甘えん坊だぁ!はい、アーン」
座ってる位置変えて横を向いて、鴨宮君の口にハッシュドビーフを運んだ。
「…………美味いな」
「良かったぁ」
「……すげぇ美味い…」
そう言って鴨宮君は俯いてしまった。
「……雄君、何かツラい事あったのぉ?」
「…」
「言えないかなぁ…今夜ずっとそばにいるから…力になれるかわからないけど、雄君の事支えられたいな…」
「……ありがとう」
鴨宮君は顔を上げて優しく…微笑んだ。