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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏



ほとんど寝れるはずなく、朝を迎えてしまった。



あーー…目腫れまくってる…



でも…学校行かなくちゃ…直接会って話さないと……。



学校に着くとすぐに鴨宮君を探した。


「武山君…鴨宮君どこにいるか知らない?」

「え?今日はまだ会ってないなー…って!谷原さん、大丈夫!?目真っ赤じゃん!」

「平気…ありがとねぇ…」


学校来るって言ってたのに…。

教室で鴨宮君が来るのを待ってみたけど、予鈴が鳴っても鴨宮君は来なかった。

「優菜ちゃん、保健室でもらってきたからこれで目冷やそー?」

琴美ちゃんが氷水の入った袋をタオルに包んでくれた。

「…ふえぇッ…ありがとぉ……」

優しくされるとまた涙が出てしまう。

「あ、今日全校集会だー!教室で休んでる?」

「ううん…」

琴美ちゃんが付き添ってくれて体育館に移動して、目を冷やしながら全校集会が始まるのを待った。

校長先生の話なんて頭に入って来ない…


鴨宮君に会いたいよぉ…


「…ーーーそれでは、英文スピーチコンテスト優勝者の鴨宮君のスピーチです」


……え?


顔を上げると、鴨宮君が壇上にいた。


鴨宮君は頭を下げると…まるで現地の人のような完璧な発音で英語を話している…。

「優菜ちゃん!鴨宮君すごいよー!かっこいいねー!」

「…」


英語のスピーチをしている鴨宮君はすごく遠く感じた…昨日まであんなに近くにいたのに…すごく…すごく遠い…

スピーチが終わると、一度体育館の中がシンと静まる。

ーーパチパチパチ

武山君が立ち上がって拍手をすると、それに続けてみんな立ち上がって拍手喝采。

壇上にいる鴨宮君は…手をグッと握り締めるとあの爽やかな笑顔を作って全校生徒に手を振った。

「わーっ!優菜ちゃん!鴨宮君あんな笑顔するんだねー!!」

「……うん…」


涙が止まらない…もう鴨宮君の笑顔は私だけに向けてもらえないんだ…

「…優菜ちゃん……体育館出よー?」

まだ全校集会の途中だったけど、琴美ちゃんに手を引かれて体育館をあとにした。




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