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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏


「……鴨宮君と喧嘩しちゃったのー?」

「……ううん……ヒックッ…してない…けど………昨日急にメールで別れようって………」

「何でー!!二人ラブラブだったのにー…」

「私も…わかんなくて……ふうぅッ…今日話してみる…」

「うんうん!優菜ちゃんー…うえぇッ…」 

何故か琴美ちゃんまで泣き出してしまった。

全校集会が終わって皆が教室に戻るタイミングで琴美ちゃんと教室に戻ると、鴨宮君の周りには女子率の高い人集りが出来ていた。

なんとか割って入り、鴨宮君の近くまで行く。

「鴨宮君!」

「お!優菜!どうした?」

え…誰?
なんかいつもの鴨宮君と違う…

「…あの…お話が…」

注目されながらも二人で廊下に出ることが出来た。

「何?」

「…昨日のメールの事なんだけどぉ」

「そのままの意味だよ?」

涙をグッと堪える…

「そんな……私の事好きじゃなくなっちゃったのぉ?」

「……………うん。ごめん」

「どうして……昨日愛してるって言ってくれたじゃん……」

「そんなのただの言葉だろ。誰にでも言える」

一緒にいるのに鴨宮君は一切私の事を見ようとしなかった。

「……鴨宮君!目見て言って!私のこと見て話してよぉ!」

鴨宮君の腕を掴むと、涙が溢れる。
すると、鴨宮君は腕を掴む私の手を掴んだ。 


「優ッ…………菜……ごめん…俺に触らないで………授業始まるから戻ろう………」


そう言って教室に戻ってしまった。




最後まで鴨宮君の瞳には私が映る事はなかった。





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