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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏
10年の月日が流れた。
私は何事もない穏やかな日々を過ごしていた。
鴨宮君とはあの日以来一度も連絡を取らなかった。
連絡なんて取ったら会いたくなっちゃうし…
なんて言ったって鴨宮君がいるのはフランス。
美人なフランス人の女の人とたくさん出会ってるだろうし、良い感じの仲の人出来てるかもしれないのにいつまでも鴨宮君の事を想ってたらいけない。
10年の間たくさん出会いはあったけど、最初は良い感じでもマイペースな私を受け入れてくれる人はなかなかいなくて未だに彼氏も出来ないでいた。
「はぁ…そろそろ彼氏欲しいなぁ」
「優菜ちゃんならすぐに出来ると思ったのにどうして出来ないのかなー?」
「カレシってなにー?」
今でも琴美ちゃんとはよく会っていて、今日も琴美ちゃんのお宅にお邪魔していた。
琴美ちゃんは大野君と結婚して4才になる拓海君という男の子のお母さんになっていた。
「うーんと、パパとママみたいに結婚するかもしれない人の事かなー?」
「なんだー!たっくんの事ー?たっくん、ゆーなと結婚するんだよー?」
「拓海君ー!そんな事言ってくれるの拓海君だけだぁ…」
私は抱きついてきてくれた拓海君を抱き締めた。
まだ小さいのにイケメン過ぎる!さすが、大野君の子…将来が楽しみ。
「ああぁ!!ねぇ!優菜ちゃん!これ鴨宮君じゃない!?」
琴美ちゃんはテレビの画面を指差した。
テレビでは新しくオープンするカフェが特集されていた。
そこでイケメンパティシエと鴨宮君がテレビ画面に映っていた。
開いた口が塞がらない…
鴨宮君はカメラ目線をすることなく、無表情で聞かれたことだけ淡々と応えていた。