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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏


そうだ!初めて作ってくれたお料理はパスタだった!

あの時と同じ明太子のパスタ…鴨宮君の作ってくれる明太子のパスタが美味しくて、何回も作ってもらったなぁ。

覚えててくれたのかな?
それとも偶然?

「…美味しい…昔よく作ってくれたよねぇ!……覚えてる?」

「…忘れるわけない…優菜が好きだったから用意した…」

うぅーもう…また鴨宮君に恋しちゃうから…やめてぇ…

「これ!メニューにもあるのぉ?食べに来なくちゃ」

「…ない。俺普段は食事メニュー作らない」

「あ、そうだよね…スイーツの方だもんね…」

あれ…?そういえば鴨宮君なんだか急に冷たくなった…?さっきまで優しかったのに…

食べ終わると鴨宮君はお皿を片付けて、厨房からシャンパンを持ってきた。

「…飲める?」

「えっ…の、飲めるよ?お酒もあるんだねぇ」

「普段出さない…今日だけ」

つい飲めるって言っちゃった…
っていうか…デザートないの!?

最初のお客さんなのに、普段ないものばっかり!

「えーっと…鴨宮君…デザート的なものは…?」

「……」

鴨宮君は黙ってグラスにシャンパンを注いだ。

「……飲んで」

「あ……うん…」

シャンパンは飲みやすいけど…そうだ!お酒が回る前に帰ればいいんだ!

いつも飲むときは少しずつだけど、今日は早く帰るために早めに飲み干した。

「あー美味しかった!招待してくれてありがとう!今度ケーキ食べに来るねぇ…えっと…お金……」

隣の椅子に置いてあるバックを取ってお財布を出そうとすると、鴨宮君は地面に膝をついてお財布を持った手を掴まれる。

ジッと見つめる鴨宮君の瞳には私が映っていた。


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