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想い人
第5章 新たな想い人
「美空、指貸して」

透也が私の左手を取った。

スッと薬指に嵌められるリング。


「今日の透也、甘すぎ」

私の言葉に顔を上げる透也。
その優しい瞳に、胸がキューっと締め付けられる。

「……甘すぎて溶けそう」

目頭が熱くなってきて、私は慌てて透也に抱き着いた。


まだ信じられない。
”彼女気取り”から”彼女”になれた。

─────明日起きたら全部夢だったらどうしよう……。


透也の胸の中で、自分の頬を抓ってみる。

「痛いっ‼︎ 」

怪訝な顔を向ける透也に、抓った頬を押さえながら泣き笑いして見せる。

フッと透也が目を細め、優しい視線を私に向けた。


「いいよ」

「え?」

「美空の事、溶かしてやる」

そう言って、透也は私をベッドに押し倒した。

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