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想い人
第3章 それぞれの想い人
「泣きたい時はちゃんと泣け」

泣いたらホントに気持ちが揺れちゃいそう。

透也の事大好きなのに、何処かでもうこんな辛い想いをしたくないって思ってる自分がいる。


必死に首を横に振る私に、航先輩が言った。

「よし、飲みに行くぞ!」

「……私未成年です」

この前19歳になったばかり。
お酒飲んでパーっと忘れる……なんて出来る歳じゃない。


「あ…あー……じゃあ飯行くぞ! あ、透也が予約してた店にしようぜ?」

「えっ⁉︎ それは……っ」

ダメダメ!
それは絶対に透也と……っ。

「透也との楽しみに取っておく?」
私の答えなんかお見通しだと言わんばかりに、航先輩がニッと笑った。

「それで良いんだよ。簡単に譲るな、諦めるな」
航先輩の大きな手が私の頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。


─────諦めなくていいのかな?

あんなお似合いの2人を見せつけられたら辛いよ……。

2人の気持ちが通い合っているのなら、私は身を引くべきなんだよね……。

私は悲しい決断をなかなか出来ずにいた。

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