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想い人
第3章 それぞれの想い人
航先輩が連れてきてくれたのは焼肉屋さん!
沈む気持ちとは裏腹に焼肉独特の匂いにそそられる。


「よし、この店で一番高級な肉を頼んでやる!」
ほろ酔い気分の航先輩がメニュー表を広げる。

「えっ? 安いのでいいですって!」
私は慌てて手を振った。

「いいんだよ、その代わり元気出せよ?」

「……はい」

有無を言わせない航先輩の気遣わしげな顔に、素直に頷く。


「おっ…美味しいっ‼︎ 」
余りの美味しさに、テンションアップな私。
悲しいくらいに単純……。

「だろ? 凹んだ時は美味いものを食うのが一番だ!」

嬉しそうな航先輩の笑顔につられて笑う。

お酒が入り上機嫌な航先輩のおかげで、私は笑っていた。

航先輩といる間だけは、透也と蕾さんとの事を忘れていられた。

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