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プリンスの誘惑
第2章 ~無口な王子~
「姫は桃園が好きなのか?」
情事の後、珍しく殿下が話しかけてきた。
殿下の声は低く威厳に満ちている。
しかし、どこかその低い声が耳心地よく、たまにしか訊けぬその声に姫は少しドキドキとする。
「はい、宮廷の桃園は大変美しいです、殿下と一緒に見れて嬉しく思っております」
「…………明日も、一緒に見に行かないか」
姫はまだ熱が冷めぬうち、頭がほぅとするなか何度も瞬きをしながら殿下を見つめる。
「嫌か?」
「いえ……是非」
ピクリとも動かぬ表情で殿下はそれだけを伝え姫の隣、背を向けて寝てしまう。
────殿下…………
姫は、殿下に寄り添いたくなる気持ちを抑え、火照り続ける体の芯が再び疼いてくるのを感じた。
今しがた、殿下の精を受けたばかりというのに。
もっと……その、温もりが欲しくなる。