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Love triangle +1
第5章 塁
「きっと捨てられたんだろうなって覚悟してた物、手にしてるんだもん。そりゃ驚くよ。名前も知らない行きずりの男の傘、家の傘立てに放置しちゃうのが普通なのにさ。返したいって思ってくれたとしても同じ駅を毎日使ってる保証はないし、何時に帰って来るかも分からないのに」
真理愛の細い体をしっかりと抱き締めて、塁は両眼を閉じた。
「昨日と同じ時間帯に目星をつけてたのはまだ分かるとして、二時間もよく待っててくれたなって感動した」
「新しい傘買ってしまわない内に早く返さなきゃと思って。でも流石に遅いから行き違ったか、飲み会か、それともいつもは違う路線か…また明日出直してそれでもダメだったら、諦めようかとも思ってたけどね」
「真理愛にぎりぎり会えて本当に良かった。でなければ今こうしていないから」
感慨深げな塁に同調するように、真理愛はそっと彼の胸に頬を預ける。
「お礼を言うのは私の方なのに塁ってば『傘を返してくれてありがとうございます』『待っててくれてどうもありがとうございます』って直立したまま何度も頭下げてきて」
「うん。勢い余って手にしてたスマホ落としました。画面割りました」
最高に情けない声を出す塁に真理愛が噴飯すれば、つられて彼もまた笑い出した。
真理愛の細い体をしっかりと抱き締めて、塁は両眼を閉じた。
「昨日と同じ時間帯に目星をつけてたのはまだ分かるとして、二時間もよく待っててくれたなって感動した」
「新しい傘買ってしまわない内に早く返さなきゃと思って。でも流石に遅いから行き違ったか、飲み会か、それともいつもは違う路線か…また明日出直してそれでもダメだったら、諦めようかとも思ってたけどね」
「真理愛にぎりぎり会えて本当に良かった。でなければ今こうしていないから」
感慨深げな塁に同調するように、真理愛はそっと彼の胸に頬を預ける。
「お礼を言うのは私の方なのに塁ってば『傘を返してくれてありがとうございます』『待っててくれてどうもありがとうございます』って直立したまま何度も頭下げてきて」
「うん。勢い余って手にしてたスマホ落としました。画面割りました」
最高に情けない声を出す塁に真理愛が噴飯すれば、つられて彼もまた笑い出した。

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