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Love triangle +1
第5章 塁
ただ見た目を褒められただけなら、付き合うまでは至らなかった。
昨日今日会ったばかりで、相手の良い所を探すにもなかなかにハードルは高い。
体の関係前提なら、言わずもがな。
だからつまり、彼とはそれきりのはずだった。
でも彼は見事なまでに、傘を貸してくれたままの彼だった。
不器用で、嘘が吐けなくて、損をするような役回りも多分少なくない。
本人はきっと、それに気付いてもいない。
そもそも損得で物事を考えていたら、傘を貸そうなどと思わないだろう。
自分は傘を持っていて、濡れずに帰られたのに、風邪を引くリスクを冒してまで他人に差し出したのだから。
『傘を差してくれてありがとう』なんて、助けられたのは自分の方。
本当に嬉しかった。
身体の相性の良さを絶賛される事はあっても、笑った顔が一番に可愛いなんて褒め言葉、いつ振りだっただろう。
好きになってしまったのは、同じだった。
その日。
その時。
自分は、彼に恋に落ちた。

「玲那が俺のプロポーズを迷ってるのは、料理が苦手だから?他にも何かあったりする?もしも俺への不満とか、ここが嫌だとか、こうして欲しいとか、あるならはっきり言って欲しい。いきなり全部を直す事は難しいけど、でも努力はする。約束する。だから」

真剣な塁の問いに、真理愛はきっぱりと首を縦に振った。
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