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Love triangle +1
第3章 利音
「昼もやってるか、そこ?」
「……多分」

そもそも行く予定もなかったので、隙を見てスマートフォンで適当な店を探すところからスタートしなければならない。
だが、そんな時間がこれからあるかどうか──当たり障りのない返事をしながら、真理愛は内心焦る。

「なら決まりだ。夜とは多少メニューが違ってしまうかもだけど、そこは今回我慢しろ。その代わり、なんでも好きな物奢ってやる」
「……上場企業に勤めるエリートサラリーマンは太っ腹だね」
「長男だって事を除けば、経済力は十分だし頭も顔も悪くない。女とは明日別れる予定だし、買い時だぞ」

嫌味のつもりで言ったのだが、当の本人には全く伝わっていなかった。
それどころか自慢話のようにすらなり、真理愛は面白くない。

「夜も満足させられる自信はあるしな。結婚相手には申し分ない」

意味深な礼音をかわし、真理愛は立ち上がる。

「お生憎様。私にはもう相手がいるから」

洗面所で口をゆすぐ真理愛の横に、礼音が並ぶ。
自分もそう低い方ではないが、180センチを優に超える身長はやはりそれなりに迫力がある。
薄茶の髪と目の色は、生来のもの。
初めて見た時は異国の血が混じっているのかとも思ったが、生粋の日本人らしい。
恐らく母親譲り。
彼ら双子の母も同じく、薄い茶色の髪と双眸をしていた。
うがいを終えた礼音が顔を上げ、その拍子に緩くパーマをかけた柔らかな前髪が揺れる。
長い睫毛、通った鼻筋ータオルで口を拭きながら、鏡の中の彼をそっと覗っていれば、ばっちり目線が合う。
鏡を通して微笑まれ、真理愛は持っていたタオルを叩きつけるように置き、足早に寝室に戻る。
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