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花狂い
第5章 恵 2
翌日
地元の家族連れが 連れだって催事場にやって来た
一枚の絵の前で 3歳位の女の子が父親にせがみ
抱き上げられると 熱心に絵を見て
母親に欲しいとねだり始める
遥が傍により女の子に話しかけた
お名前は 女の子がはにかみながら
琴音と言う、父親が遥に尋ね
「 これ、今持って帰れますか? 」
琴音ちゃんこの絵好きと尋ねると
うんと答え この絵楽しそうと答えた
遥は、レジからサインペンを持ち
壁から絵を外すと 琴音ちゃんは何が好きと聞いた
ウサギさんと飛行機 パパが何時も飛行機してくれるから
無邪気に答えた
額縁の後ろに 飛行機と
ウサギに手を引かれる女の子を描き
琴音ちゃんへ遥と サインを入れ
手提げ袋に入れ父親に渡した
女の子は、遥のイラストを見てこれ私と指さし
両親と手を繋ぎ帰って行った
山辺が会場を覗き 今日も残業だなと嬉しそうに遥の自宅に
追加の絵を取りに向かった
日曜日 午前中は静かな催事場が
昼過ぎには来店客の整理に終わり
三時過ぎに すべての絵に売約済が張られ
山辺は夕方から遥の家から持ち帰った絵を額縁に収めていた
そんな中、久保山が催事場の盛況を見に来て帰って行った
水曜までの催事期間中に163枚の絵が売れ
遥には売り上げの70パーセントが支払われ
遥はその額に驚いていると 山辺が思った通りに描きなさい
また機会が有ったら一緒に仕事しようねと遥を送り出し
もう少し高くても良かったな
俺も甘いはと 高島に笑いながら言った