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花狂い
第7章 遥
遥が 黒いスーツに入館証を付け
はにかんだ顔で 高島達の傍に歩み寄って来た
ギャラリーに人が入って来る 山辺が
昨日の外人さんと 耳打ちしてきた
外人が遥に握手を求め 躊躇しながら遥が返し
連れの日本人が 昨日あなたの絵を見て買ったものだと
外人を紹介して 外人が何か言った 通訳が
「貴方に ニューヨークに来て 絵を描いて貰いたい」
「私は 貴方の絵を売りたい 生活は保障するが どうだろう?」
と提案してきた
遥は唖然として 山辺を見た 山辺が頷き
「 遥ちゃん 貴方日本に居ては駄目だ あちらで好きな風に描きなさい 」
言われて遥は頷いた
外人は通訳に何か言うと 遥にハグして
通訳が 名刺を出して
「私が 手続きしますので 連絡はこちらに」
ギャラリーを去って行った
展覧会は 盛況に終わり 絵は完売となった
山辺が もう少し持って来れば良かったと
悔やんでいた
5枚の絵は 最後までお客様の目を楽しませ
この絵が欲しいという客を 宥めるのに
苦労したと 山辺が終わった時 高島に溢した
二週間後 高島と恵と山辺の見送る中
遥は 新しい世界へ旅立って行った