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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
 机の上にある置時計が十七時を回った。十七時は職員の退勤時間だ。私は部屋を出て各部署を見て回る(多分こんなことをしている市長は私だけかもしれない)。
 働き方改革が叫ばれている中、私の街の役所は残業時間を0にすることを目標の一つにしている。
 各部署を見て回ると言ったが、私が足を向ける先はいつも同じだ。私は一時期、県の財政課に出向していたことがあったが、その間、私が定時で仕事を上がることができたのは数えるくらいしかない。
 行政機関の財政課や税務課は残業するのが当たり前になっている。もちろんこの状況をこのまま見過ごすわけにはいかない。
 税務課の職員たちが私を認めると、席に座ったまま私に頭を下げた。
「みなさん、お疲れ様です」
 私がそう言うと、税務課の部長が私のところにやってきて「十八時に上がります」と言った。
 それから私は今日の当直担当者に挨拶に行く。もう何年も前から役所の当直は外部に委託している。
 これが私の退勤前のルーティーンだ。
 部屋に戻ると、ソファに副市長の香坂が座っていた。
「まだいたのか?」
「あのね、市長が役所にいるのに、副市長の私が帰ることなんかできなわいよ」
「帰れよ」
 私は香坂の正面に座ってそう言った。
「また税務課?」
「ああ」
「あそこは大変よね」
「十八時だそうだ」
「それでも前に比べたらだいぶ良くなったんじゃない? 以前なんて十時になっても税務課に灯りがついていたんだから」
「それをなくさなければならない」
「だからそういうところは市長が率先してやりなさいよ。仕事がなければ市長は帰る。明日明後日は休みなんだから、ゴルフの練習場に行って汗をかいてきなさいよ。練習して練習して、一度でいいから咲子さんに勝ってみなさいよ」
「無理だな」
「ゴルフでは奥さんに勝つことが出来ない市長……何だか次の選挙で使えそうなフレーズね。長谷川、そう思わない?」
「香坂を副市長にして正解だった」
「それどういう意味?」
「お前のつまらない一言一言で俺はリラックスできる」
「はいはい、じゃあまた来週つまらないネタを披露しますわ」
 香坂はそう言って部屋から出て行った。
 部屋のドアが閉まってから数秒後、私の携帯が着信音を鳴らした。誰かが市長室を覗いているのだろうか。
 スマホの画面を見ると非通知となっていた。私は電話に出た
「はい、長谷川です」
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