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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
 浅い眠りが何度か続いた。目を覚ましナイトテーブルに置いたグランドセイコーSBGX263で時間を確認する。そして時計をテーブルに戻して布団に潜り込む。
 目を瞑れば眠りは向こうから勝手にやってくる。しかし、一時間ほどすと私はまたナイトテーブルの腕時計に手を伸ばしている。
 隣のベッドで寝ている咲子を起こしてはならない。だから目覚まし時計の力で起きるわけにはいかない。そういう状況が私を苦しめている。
 咲子のナイトテーブルの上に、京都に行くこと、そして遅くなるが京都には泊まらずに帰ってくると書いたメモを置いた。
 置いてきぼりにされたと咲子に思われたら(間違いなくそう思うだろう)、遠山の家に私は入れてもらえないかもしれない。そうであっても私は一人で京都に行く。
 目が覚めた。市長就任祝いに父から貰ったグランドセイコーで時間を確認すると午前四時五十分だった。もう布団に潜り込むことはできない。
 頭も体も重い。私は音をたてないようにしてベッドから出た。洗面所に行き顔を洗う。身支度を整える。今日は書類も鞄も必要ない。玄関から出て、私は遠山の屋敷の門まで歩いた。 
 いつもなら竹内の車は玄関前に止まっているのだが、今日だけは門の前に止めてくれと私が竹内に頼んだのだ。遠山機械工業のロボットが作った車のエンジン音が、咲子を起こすことはないが、それでも念には念を入れる。
 門を出ると運転席から竹内が降りて来た。
「おはようございます」
 竹内はそう言って私に頭を下げた。
「おはようございます。竹内さん、今日は無理を言ってすみません。どうぞよろしくお願いします」
「……」
 後部座席のドアを開けた竹内が驚いた顔をしている。竹内の視線は私の後ろに向かっていた。竹内の視線の先を見るとそこにはパジャマの上にガウンを羽織った咲子がいた。
「竹内、私も行きますから待ってて。いいわね」
 咲子は私に目を寄越さず竹内にそう言うと屋敷に戻った。
「はい、お嬢様」
 竹内は屋敷に戻る咲子の後ろ姿に頭を下げた。
「市長、ではなく今日は長谷川さんとお呼びした方がいいでしょうか。公務なら私は市長の命令に従います。しかし、長谷川さんの私用となると私はお嬢様の命令に従います。長谷川さん、申し訳ございません」
 竹内はそう言って、私に深く頭を下げた。
「いいんですよ、覚悟しました。私は咲子と一緒に行きます」
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