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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
私と竹内は暖かい車中で咲子を一時間待った。
六時に出発する予定だったが、竹内の運転する車が動き出したのはそれより三十分経ってからだった。
「竹内、行っていいわよ」
咲子は運転席の竹内にそう言った。
「承知いたしました」
「竹内さんも俺も随分君を待っていたんだけど」
「……」
咲子は私を見ない。
「俺は構わないが、竹内さんに一言あっていいんじゃないのか」
「……」
咲子は私の言葉を無視した。
「長谷川さん、私は大丈夫ですので」
車内の雰囲気が悪くならないように竹内はそう言った。
咲子はスマホを取り出して何かを検索し始めた。検索が終わるとスマホをバーキンの中にしまった。
車が高速に乗る前に咲子は竹内にこう言った。
「竹内、○○サービスエリアに寄って頂戴」
「○○サービスエリアでございますね。承知いたしました」
「○○サービスエリアに何の用があるんだ?」
「お腹が空いたんですけど」
ようやく咲子の顔が私の方に向かってきた。
「こんなに早く開いている店があるのか?」
「調べました」
咲子はスマホで食事のできるサービスエリアを探していたようだ。
高速を走ってから一時間が経過した。車が○○サービスエリアに入る。
「竹内、あなたも一緒に食事をして。今日の支払いは竹内の休日を取り上げたこちらの市長がすべてするようですから」
「ははは。市長、ご馳走さまです」
笑顔で竹内はそう言った。
○○サービスエリアのフードコートでは大手コーヒーチェーンの店だけが開いていた。私たち三人はホットコーヒーとコルネッティを頼んだ。咲子だけブルーベリーレアチーズケーキを追加して注文した。
空腹が満たされた後の咲子は怖い。私は咲子の攻撃……ではなく口撃に備えた。
「竹内、聞いてくれる?」
サービスエリアから高速に出ると咲子はそう切り出した。
「お嬢様、何でしょうか?」
「こちらの市長さん、私を置いて一人で京都観光なさるようなの」
「観光に行くんじゃないよ」
「じゃあ、何で京都なんかに行くの?」
「……」
江村都子のことは話せない。
「こちらの市長さん、私の質問には答えられないみたいだわ」
「決着をつけに京都に行く。それだけだよ」
「決着?」
決着という言葉に咲子は何かを感じたようだ。
「ああ、決着だ」
「京都のどこに行くの?」
「広隆寺」
「広隆寺?」
「ああ」
六時に出発する予定だったが、竹内の運転する車が動き出したのはそれより三十分経ってからだった。
「竹内、行っていいわよ」
咲子は運転席の竹内にそう言った。
「承知いたしました」
「竹内さんも俺も随分君を待っていたんだけど」
「……」
咲子は私を見ない。
「俺は構わないが、竹内さんに一言あっていいんじゃないのか」
「……」
咲子は私の言葉を無視した。
「長谷川さん、私は大丈夫ですので」
車内の雰囲気が悪くならないように竹内はそう言った。
咲子はスマホを取り出して何かを検索し始めた。検索が終わるとスマホをバーキンの中にしまった。
車が高速に乗る前に咲子は竹内にこう言った。
「竹内、○○サービスエリアに寄って頂戴」
「○○サービスエリアでございますね。承知いたしました」
「○○サービスエリアに何の用があるんだ?」
「お腹が空いたんですけど」
ようやく咲子の顔が私の方に向かってきた。
「こんなに早く開いている店があるのか?」
「調べました」
咲子はスマホで食事のできるサービスエリアを探していたようだ。
高速を走ってから一時間が経過した。車が○○サービスエリアに入る。
「竹内、あなたも一緒に食事をして。今日の支払いは竹内の休日を取り上げたこちらの市長がすべてするようですから」
「ははは。市長、ご馳走さまです」
笑顔で竹内はそう言った。
○○サービスエリアのフードコートでは大手コーヒーチェーンの店だけが開いていた。私たち三人はホットコーヒーとコルネッティを頼んだ。咲子だけブルーベリーレアチーズケーキを追加して注文した。
空腹が満たされた後の咲子は怖い。私は咲子の攻撃……ではなく口撃に備えた。
「竹内、聞いてくれる?」
サービスエリアから高速に出ると咲子はそう切り出した。
「お嬢様、何でしょうか?」
「こちらの市長さん、私を置いて一人で京都観光なさるようなの」
「観光に行くんじゃないよ」
「じゃあ、何で京都なんかに行くの?」
「……」
江村都子のことは話せない。
「こちらの市長さん、私の質問には答えられないみたいだわ」
「決着をつけに京都に行く。それだけだよ」
「決着?」
決着という言葉に咲子は何かを感じたようだ。
「ああ、決着だ」
「京都のどこに行くの?」
「広隆寺」
「広隆寺?」
「ああ」

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