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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
 渋滞に巻き込まれることなく、私たちは京都に到着した。広隆寺がある太秦で私たちは寿司屋に入った。
 店の戸を開ける。店内にはすでに多くの客がいたが、私たち三人は運よくカウンター席に座ることが出来た。そして私たちは、三代目の大将におまかせで握ってもらうことにした。
 昼食に寿司を選んだのは、私や咲子ではなく竹内だった。
 咲子が運転をしている竹内にこう訊ねたのだ。
「竹内、お昼は何がいい?」
「お嬢様や長谷川さんがお決めください」
「だめだめ。今日は竹内が決めて」
「咲子の言う通りです。お休みの竹内さんに無理を言いました。私に償わせてください」
「そうです、こちらの市長さんにたっぷり償ってもらいましょう」
 咲子がそう言っても竹内は遠慮し続けた。そして数十秒後、ようやく竹内が「それではお寿司を頂きたいのですが」と昼食を決めたのだ。
 三代目の腕は確かだった。それに、知らない寿司屋では“おまかせ”で頼むのが一番だ。
 熱いあがりが運ばれてきた。湯呑みに手を伸ばしたとき、咲子が私にこう訊ねた。
「どうして広隆寺なの?」
「これだよ」
 私はスマホに送られてきた写真を咲子に見せた。
「仏像?」
「そう」
「仏像なんてどのお寺にもあるんじゃないの?」
「特徴があるだろ?」
 私はそう言ってスマホを咲子に渡した。
 咲子はしばらく写真の仏像を見ていた。
「仏像の顔……じゃないわよね。手? 指?」
「そうだ」
「竹内、この仏像わかる?」
 咲子はそう言うと、竹内に写真の仏像を見せた。
「弥勒菩薩ですね」
 竹内は写真をじっくり見てそう言った。
「弥勒菩薩?」
「そう、その写真は広隆寺にある弥勒菩薩だ」
「お客さん、広隆寺の弥勒菩薩は国宝ですよ」
 私の声が三代目に届いたのか、カウンターの向こうにいる大将がそう言った。
「国宝なの?」
 そう訊ねる咲子の目は、三代目に向かっていた。
「弥勒菩薩さんを見にきはるお客さんはぎょうさんおりますよ」
 三代目は、咲子にそう答えた。
「ふん~ん」
「恥ずかしいが俺も調べなければわからなかった」
「でもこの写真だけで沢田さんが広隆寺にいるとは限らないんじゃないの?」
 私は沢田絵里(江村都子)に呼び出されたと言うことは咲子に話した。
「今俺は広隆寺の弥勒菩薩にすがるしかない」
 だが江村都子は必ず現れる……絶対に。

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