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千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
「亮ちゃん、殉職した私の父は二階級特進で警視になっているはずなの」
「殉職?」
「父は世間の白い目から私と都子を守ってくれた。でもそんな父を警察という組織は守ってくれなかった。父は殉職したのよ」
「二階級特進ということは、君のお父さんは警部補だったのか?」
「そうよ、警部補。父は高校を出て警察学校に入って、私の父は正義のために必死に働いてきたのよ。働きながら父は勉強も怠らなかったわ。巡査長になるための試験を私の父は秋田県内で最年少でクリアしたの。巡査部長になったのも秋田県で最年少。それでも父は物足らなかったみたい。仕事をして、勉強をして、そのときを待った」
「そのとき?」
 私には京子が言う「そのとき」がわからなかった。
「二十六にならないと警部補昇任試験は受けられないのよ」
「昇任試験か」
「父が二十六になって警部補昇任試験のことを上司に相談したら、上司は父にこう言ったそうよ『君は優秀だ。でも早いよ。出世したい気持ちはわかるが、友達がいなくなるぞ』」。
「脅しか……」
「警察っておかしな組織よね。規則に従って二十六まで待ったのに試験を受けさせてもらえないんだもの」
「……」
 役所にも昇任するための試験はある。すべての役所がそうであるとは言えないが、私の街の役所の場合、とにかく受けろと上司から言われていた(私だけでなくすべての職員に対して)。
「父が三十になってようやく上司から警部補昇任試験の受験を認めてもらえたの」
「ひょっとして、君のお父さんはノンキャリアで最年少警部補になったのか?」
「そうよ。ノンキャリで最年少警部補になった私の父を地元のテレビ局が取材に来たのよ……」
 京子の声がだんだん小さくなっていった。
「どうした?」
「父の上司が言った通りにになったの。父の昇任を祝福してくれる人は誰もいなかった」
「……」 
 どんな世界にも妬み僻み嫉みがある。
「父の出世を快く思わない人たちを喜ばす出来事が起こったの」
「ひょっして君のご両親の離婚?」
「その通り。報復は直ぐにやって来たわ」
「報復」
 公務員が受ける報復。
「刑事課から警務課への異動。それも別の署の」
「……」
 確かに刑事課は花形部署だ。
「結局父は追い出されたの」
「追い出された……」
「ところが本当の報復はまだ先に父を待っていたの」
「本当の報復……」
「そう、本当の報復」

 
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