この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第62章 第八夜 island 満月の夜
 一月前、私たち四人は加地の家に招かれた。
 加地の前で河田はこう言った。
「○○〇は来年の株主総会が終わった後で退任するつもりです。もちろん、それまでに○○〇を復活させます」
「それは拙いな、黒字になれば、○○〇は君を慰留する。そうなったら君は断れんぞ」
 加地が河田にそう言った。
「お断りします」
「どうしてだ?」
「子供たちの成長を見逃したくないんです」
「それはいつまでだ?」
「いつまでとは?」
「良輔や良幸がいくつになったら君は仕事に復帰するのかと訊ねているんだ」
「復帰はしません」
「それはダメだ」
「僕には守らなければならない家族がいます。家族は僕の宝物です」
「麗子さん、あなたはどう思うかね?」
 加地が私に話をふった。
「私には河田の仕事のことは全く分かりません。だから、河田が決めたことについていくだけです。私も良輔もそして良幸も河田を信じています」
 私の答えに対して加地は一言だけ「そうか」と言った。
 優等生の答えで私は逃げたが、本音は河田の決意に大賛成だ。
 河田が○○〇を離れれば、悩みの種であるM会に出る必要がなくなる。スーパーで「あれが○○〇のCFOの奥さんよ」という視線を浴びなくて済む。
 それに河田がいつも家にいれば子供たちだって大喜びするにちがいない。もしかしたら河田も私と同じ気持ちなのかもしれない。
 同じ屋根の下で暮らしていても、子供は自立の羽を広げて飛び立っていくのだ。
「良輔、良幸はまだ自転車に慣れていないんだから、良幸のペースで走るのよ」
 小さなマウンテンバイクで三人は秘密基地に向かうらしい。バイクは良輔と良幸が乗る二台。
「大丈夫だよママ、良幸にはパパがついているから」
 河田はまだ自転車に慣れていない良幸を補助をする。
「パパがついていても良幸のことを守るのよ。良輔はお兄ちゃんなんだから。わかった?」
「了解です」
 良輔が私に向かって敬礼した。
「ママは行かないの?」
 良幸が少し寂しげな顔を私に向けた。
「ごめんね。ママ、秘密基地に興味がないの。良輔も良幸もパパと思い切り遊んでらっしゃい」
「ママ、遊びじゃないからね。パパと僕と良幸は秘密基地で仕事をするんだ」
「そうなの。じゃあ、お仕事がんばってね」
「了解です」
 そう言って敬礼したのは河田だった。
「ふふふ」
 この時間が永遠に続きますように……。
/838ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ