この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第62章 第八夜 island 満月の夜
 歩き出して私は気づいた(気づくまでもないことだが)。
 私はこの島を知らない。
 私が島で知っていることなんて一つもない。ところが私は不安を感じていない。大きな真ん丸の月の光は、私の心の中にまで届いている。私が道に迷わないように、数えきれない星たちが、私の足元を照らしている。
 変な言い方かもしれないが、私の中には意思が存在しない。何が言いたいのか、それはつまり私の体は、私がコントロールしていないと言うことだ。
 私は何かに導かれている。その何かを探る気なんてないし(探ったところで答えは見つからないだろう)、私を待っている何かは、私や河田を傷つけることはしないだろう。
 この島に身を委ねている限り、私や河田に恐怖は訪れない(この推測には自信がある)。
 歩きながら私は可笑しくなった。この島に一週間もいるのに、見たことのない景色が続いている。何度も何度もこの島に来ているのに、記憶の頁には何も刻まれていない。
 私は後悔した。私も河田や子供たちと一緒に少しだけアクティブに行動してもよかったのではないか。
 そんなことを考えているときだった。百m位先に何かが強い光を放っていた。アメリカのテレビドラマのシーンが蘇る。未確認飛行物体UFOが地球に着陸するあの場面だ。
 この島にUFOが飛んでくるなんて聞いたことがない。宿のおじいさんもおばあさんも、それに河田だってそんな話をしたことがない(そもそも大人はそんな話はしない)。
 ひょっとしたら、あれは本当にUFOで、宇宙人が何かの目的を達成するためにこの島にやって来たのかもしれない。宇宙人の目的とは……それは脚本家が好きなシーンだ……視聴者を怖がらせる演出……人体実験?
 私は吹き出しそうになった。宇宙人と会ったら、私は良輔や良幸に自慢する。
「ママはね、宇宙人に会ったことがあるのよ」
 良輔と良幸はこう言うに違いない。
「ママだけずるいよ」
 と。
 そんなことを思い浮かべながら私は前に進んだ。警戒心はない。それどころか私は光の正体をこの目で見たかった。
 慌てることはない。光は消えない。私が光の実体を突き止めるまでは、絶対に光は消滅しない。
 私にははっきり見える。あの光は、私に手招きしている。こっちに来い、こっちに来いと私を誘っている。
 あの光の中に河田がいる。だから私はあそこに行かなければならない。
/838ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ