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千一夜
第62章 第八夜 island 満月の夜
宇宙人との遭遇なんてあり得ない。しかし、今私が目にしていることも予想することはできなかった。
そもそも、私は河田や子供たちと違って島に詳しいわけではない。島の中にこんなところがある事すら私は知らなかった。
私が見たものとは……。
どう言えばいいのだろうか。陸上競技の四百mトラックくらいの大きさの浴場があったのだ。その風呂に二十代くらいの若い男女がそれぞれのパートナーと一緒に湯に浸かっている。みんな笑い顔で、楽しそうで、少なくともそこには憎しみや妬みなどが一切存在していなかった。
湯に浸かっていても男も女も全裸ではない。みんな浴衣のようなものを着ている。ただ、腰にあるはずの帯が見えない。帯のない浴衣……帯は無くても、そのせいで胸が露出するようなことはない。そういう浴衣……のような着物を着ている。
「あの、すみません」
私は湯に浸かっている人たちに声を掛けた。
「……」
だが、私の方に振り向く人は一人もいなかった。
「あの……」
私の声は届いていない。どうして私の声は届かないのだろうか。
私は目を凝らした。するとあることに気付いた。どうやら私が目にしている光景は、映写機のようなもので映された世界のようだったのだ。
私は後ろを振り向いて、映像の送り手を探した。誰もいなかった。映写機を操る人間(人間でないのかもしれないが)を見つけることはできなかった。
一体これは何の暗示なのだろうか。
世界一の露天風呂に仲良く浸かっているカップルなんて見ていてもつまらない。でも一つだけ確かめなければならないことがある。スクリーンの中には河田がいる。
私は河田を探し始めた。不安が募る。河田と一緒にいる女が私ではなかったらどうしよう。私はそれを受け止めることができるだろうか。
探し始めてどのくらい時間が経っただろうか、私は河田を見つけた。そして私の目はすぐに隣にいる河田のパートナーに向かった。
ところが、河田の隣にいる女だけ顔がぼやけている。その他の男女の顔の違いは判るのだが、河田のパートナーの顔だけがはっきりしないのだ。
映写技師(そんな人はいないのだが)に腹が立った。
「こんなの手抜き仕事じゃない。冗談じゃないわよ」
不満を言ったそのとき、私の肩に誰かの手が置かれた。
心臓が止まるかと思った。
誰の手だろうか……。
そもそも、私は河田や子供たちと違って島に詳しいわけではない。島の中にこんなところがある事すら私は知らなかった。
私が見たものとは……。
どう言えばいいのだろうか。陸上競技の四百mトラックくらいの大きさの浴場があったのだ。その風呂に二十代くらいの若い男女がそれぞれのパートナーと一緒に湯に浸かっている。みんな笑い顔で、楽しそうで、少なくともそこには憎しみや妬みなどが一切存在していなかった。
湯に浸かっていても男も女も全裸ではない。みんな浴衣のようなものを着ている。ただ、腰にあるはずの帯が見えない。帯のない浴衣……帯は無くても、そのせいで胸が露出するようなことはない。そういう浴衣……のような着物を着ている。
「あの、すみません」
私は湯に浸かっている人たちに声を掛けた。
「……」
だが、私の方に振り向く人は一人もいなかった。
「あの……」
私の声は届いていない。どうして私の声は届かないのだろうか。
私は目を凝らした。するとあることに気付いた。どうやら私が目にしている光景は、映写機のようなもので映された世界のようだったのだ。
私は後ろを振り向いて、映像の送り手を探した。誰もいなかった。映写機を操る人間(人間でないのかもしれないが)を見つけることはできなかった。
一体これは何の暗示なのだろうか。
世界一の露天風呂に仲良く浸かっているカップルなんて見ていてもつまらない。でも一つだけ確かめなければならないことがある。スクリーンの中には河田がいる。
私は河田を探し始めた。不安が募る。河田と一緒にいる女が私ではなかったらどうしよう。私はそれを受け止めることができるだろうか。
探し始めてどのくらい時間が経っただろうか、私は河田を見つけた。そして私の目はすぐに隣にいる河田のパートナーに向かった。
ところが、河田の隣にいる女だけ顔がぼやけている。その他の男女の顔の違いは判るのだが、河田のパートナーの顔だけがはっきりしないのだ。
映写技師(そんな人はいないのだが)に腹が立った。
「こんなの手抜き仕事じゃない。冗談じゃないわよ」
不満を言ったそのとき、私の肩に誰かの手が置かれた。
心臓が止まるかと思った。
誰の手だろうか……。

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