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千一夜
第63章 第九夜 隣人たちとの狂宴
「二億円か」
そう言った後、僕は大きくため息をついた。
「しゃあないわな。御所も近いし鴨川もすぐそこや。大学も歩いていけるんとちゃうかな」
「でもワンルームですよね? 二億円はないと思うけどな」
庶民としての細やかな抵抗。僕に二億円の家は買えない。
「私もそう思いますわ」
五十位の不動産屋の主人がそう言った。
「この値段で売れるんですか?」
「苦戦しとるな。まぁ、このままだと絶対に売れんわな。値下げせんと売れん。そやけど立地はええ、平屋の一軒家やけど、外観は外人さんが大好きな町屋造りや。内装のリフォームは終わっとる。それでも二億は高いかな。一億……いや、五千万で落ち着くんとちゃう? でも売主さんは一円も値下げする気があらへんのや。うちらはなんも言えん」
「なるほど」
「あっ、そや、ここ賃貸でもいいと言ってはったと思うんやけど。今オーナーさんに訊いてみますわ」
不動産屋の主人は携帯電話から二億円の物件の持ち主に連絡した。
「……」
おそらく学生に手が出る家賃ではないだろう。
僕の予想は外れなかった。というか、住まいを求めている人間なら絶対に外さない。
「五十万かいな。高いな、学生さんには手がでんわ」
電話はこれで終わる……と思ったのだが。
「そうや、今来てはる学生さんは京大生や。どーやんでもりっちゃんでもあらへん。京都大学の学生はんや」
京大生なんて京都にうじゃうじゃいる……はずなのだが。
「うん、うん、今訊いてみますわ。萩原さん、あんた京大で何を勉強されてるんですか?」
「説明するのは難しんですが、専門は英語です」
「英語? 萩原さん、英語しゃべれるん?」
「はい」
「英語がペラペラやそうやで。ほう……そやったら萩原さんにそっちに行ってもらいますわ。そんな金額でええの? うん、うん、わかったわ。よろしゅう頼みます。ははは、将来の学者さんやで。ほな」
不動産屋の主人は電話の向こうの人物にそう言って、電話を切った。
「萩原さん、あんたラッキーやで。オーナーさんがあんたに会いたいと言うてはる。家賃は五万でええみたいやで」
「五万!」
いきなりのディスカウントに僕はびっくりした。
「ただし、萩原さん、オーナーさんがあんたを気に入ればの話や。今からオーナーさんのお店に行くことはできる?」
「大丈夫です」
「よし!ほな、決まりや」
「……」
そう言った後、僕は大きくため息をついた。
「しゃあないわな。御所も近いし鴨川もすぐそこや。大学も歩いていけるんとちゃうかな」
「でもワンルームですよね? 二億円はないと思うけどな」
庶民としての細やかな抵抗。僕に二億円の家は買えない。
「私もそう思いますわ」
五十位の不動産屋の主人がそう言った。
「この値段で売れるんですか?」
「苦戦しとるな。まぁ、このままだと絶対に売れんわな。値下げせんと売れん。そやけど立地はええ、平屋の一軒家やけど、外観は外人さんが大好きな町屋造りや。内装のリフォームは終わっとる。それでも二億は高いかな。一億……いや、五千万で落ち着くんとちゃう? でも売主さんは一円も値下げする気があらへんのや。うちらはなんも言えん」
「なるほど」
「あっ、そや、ここ賃貸でもいいと言ってはったと思うんやけど。今オーナーさんに訊いてみますわ」
不動産屋の主人は携帯電話から二億円の物件の持ち主に連絡した。
「……」
おそらく学生に手が出る家賃ではないだろう。
僕の予想は外れなかった。というか、住まいを求めている人間なら絶対に外さない。
「五十万かいな。高いな、学生さんには手がでんわ」
電話はこれで終わる……と思ったのだが。
「そうや、今来てはる学生さんは京大生や。どーやんでもりっちゃんでもあらへん。京都大学の学生はんや」
京大生なんて京都にうじゃうじゃいる……はずなのだが。
「うん、うん、今訊いてみますわ。萩原さん、あんた京大で何を勉強されてるんですか?」
「説明するのは難しんですが、専門は英語です」
「英語? 萩原さん、英語しゃべれるん?」
「はい」
「英語がペラペラやそうやで。ほう……そやったら萩原さんにそっちに行ってもらいますわ。そんな金額でええの? うん、うん、わかったわ。よろしゅう頼みます。ははは、将来の学者さんやで。ほな」
不動産屋の主人は電話の向こうの人物にそう言って、電話を切った。
「萩原さん、あんたラッキーやで。オーナーさんがあんたに会いたいと言うてはる。家賃は五万でええみたいやで」
「五万!」
いきなりのディスカウントに僕はびっくりした。
「ただし、萩原さん、オーナーさんがあんたを気に入ればの話や。今からオーナーさんのお店に行くことはできる?」
「大丈夫です」
「よし!ほな、決まりや」
「……」

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