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千一夜
第63章 第九夜 隣人たちとの狂宴
自慢じゃないが、僕は女性の年齢を当てるのが苦手だ。十代とか二十代ならともかく、それ以上になると、推測することすら僕にはできない。
まぁ、何と言ったらいいか、つまり僕には女性と接する機会がほとんどなかった……というより全くなかった。それに、この人はいくつなのだろうかと考えるのは、女性に対して大変失礼なことなのではないかと思っている。
だから、部屋の内見をしている僕の隣にいるオーナーがいくつなのか、僕には予想することができない。
おそらく僕の母よりも歳は上だと思うのだが、僕の予想なんか当てにはならない。一つ言えることは(二つかもしれないが)、とても上品で、こういう人が京美人と言われるのだと思う。
「どう? 気に入ってもらえたかしら?」
「素敵な部屋です」
僕の本心だ。
玄関を入るとたたきの脇が四畳半の和室になっている。縦に長いLDKは十二畳……いや、もう少し広いかもしれない。LDKの奥に浴室があって浴室の窓から小さな庭が窺える。
落ち着いたシンプルなワンルームの部屋。悪くはない。しかしいくら流行りの町屋造りで、立地がよくても二億円はぼったくりのような気がする。
「売りたくないのよ」
オーナーは僕の心の中を見透かしたようにそう言った。
「はっ?」
「ここは誰にも売りたくないの」
「……」
じゃあ売らなきゃいいでしょ、と言いたかったが、今の僕の立場ではそれを言うことはできない。本当に月五万で貸してもらえるなら、言いたいことだって我慢する。
「ところで萩原さん、あなたを疑うわけじゃないんだけど、学生証を今お持ち?」
「学生証? それは京都大学の学生証ということでしょうか?」
「そうだけど」
「すみません。京都大学には四月から通うことになっています。なので、今のうちに京都の住まいを決めたいと考えて広島から来ました。今僕はまだH大学の学生です。H大学の学生証は持っていますが……、あっ、大学院の合格通知なら後日こちらに持ってまいりますが」
「ふふふ。ごめんなさいね。萩原さん、あなたを信じるわ。ところで萩原さんは英語ペラペラよね?」
「英検一級。TOEICとTOEFLのスコアは満点です。ちなみに全国通訳案内士の資格も持っています」
「凄いわね。実は英語を話せる人を探してたのよ。萩原さん、私の頼みをきいてくれる? 家賃五万円はそれが条件よ」
「何でしょう?」
まぁ、何と言ったらいいか、つまり僕には女性と接する機会がほとんどなかった……というより全くなかった。それに、この人はいくつなのだろうかと考えるのは、女性に対して大変失礼なことなのではないかと思っている。
だから、部屋の内見をしている僕の隣にいるオーナーがいくつなのか、僕には予想することができない。
おそらく僕の母よりも歳は上だと思うのだが、僕の予想なんか当てにはならない。一つ言えることは(二つかもしれないが)、とても上品で、こういう人が京美人と言われるのだと思う。
「どう? 気に入ってもらえたかしら?」
「素敵な部屋です」
僕の本心だ。
玄関を入るとたたきの脇が四畳半の和室になっている。縦に長いLDKは十二畳……いや、もう少し広いかもしれない。LDKの奥に浴室があって浴室の窓から小さな庭が窺える。
落ち着いたシンプルなワンルームの部屋。悪くはない。しかしいくら流行りの町屋造りで、立地がよくても二億円はぼったくりのような気がする。
「売りたくないのよ」
オーナーは僕の心の中を見透かしたようにそう言った。
「はっ?」
「ここは誰にも売りたくないの」
「……」
じゃあ売らなきゃいいでしょ、と言いたかったが、今の僕の立場ではそれを言うことはできない。本当に月五万で貸してもらえるなら、言いたいことだって我慢する。
「ところで萩原さん、あなたを疑うわけじゃないんだけど、学生証を今お持ち?」
「学生証? それは京都大学の学生証ということでしょうか?」
「そうだけど」
「すみません。京都大学には四月から通うことになっています。なので、今のうちに京都の住まいを決めたいと考えて広島から来ました。今僕はまだH大学の学生です。H大学の学生証は持っていますが……、あっ、大学院の合格通知なら後日こちらに持ってまいりますが」
「ふふふ。ごめんなさいね。萩原さん、あなたを信じるわ。ところで萩原さんは英語ペラペラよね?」
「英検一級。TOEICとTOEFLのスコアは満点です。ちなみに全国通訳案内士の資格も持っています」
「凄いわね。実は英語を話せる人を探してたのよ。萩原さん、私の頼みをきいてくれる? 家賃五万円はそれが条件よ」
「何でしょう?」

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