この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第63章 第九夜 隣人たちとの狂宴
 四年間付き合ってきた頑丈なママチャリで僕は京都の街を走る。
 朝六時、僕が家の前を掃除しているとき、日野さんは僕にこう言った。
「学生さんには自転車が必要よ。大学に行くのにも買い物に行くのにも自転車は必需品」
「はい」
 僕は元気な返事をしてから、広島で活躍した頑丈なママチャリを日野さんに見せた。
「いいじゃない。その自転車とても素敵よ」
 ロードバイクでもマウンテンバイクでもないただのママチャリを日野さんは素敵だと言ってくれた。
「ありがとうございます」
「門履きの決まりも守るように、わかった?」
「はい」
「ふふふ、返事だけは百点」
「ありがとうございます」
 部屋を貸してもらうための条件の一つが早朝の門履きだった。
 朝六時に家の前を掃除する。たかが掃除、されど掃除。京都の門履きには厳しいルールが至る所に詰め込まれている。これを守らないと、一生「気が利かへん人やな」と言われる……らしい。
 京都で生きていくためには、近所付き合いがとても大切なのだ。
 昨晩、風呂の中で僕はこう決めた。生活に潤いをもたらすものを手に入れる。そしてたどり着いた先は“音楽”だった。
 スポーツも悪くはないが、団体競技は間違いなく自分の時間が削られるだろうし、ジムに通って筋トレなんて、筋肉のために僕はそこまでストイックにはなれない。
 いろいろなフィルターを通して抽出されたのが音楽だ。誰にも迷惑かけずに一人で楽しめるもの。ゆっくり風呂に浸かるのも思考を研ぎ澄ますためには必要なのだ。
 自転車を漕ぎながら僕はしまったと思った。折角日野さんに会ったんだから、美里さんのことを訊ねればよかった。、まぁ、訊ねたところで日野さんがどこまで話してくれるかわからないが。
 二三軒中古レコード店を回ったところで、僕は極めて大事なことに気付いた。
 レコードに必要なもの、それはプレーヤーでありアンプでありスピーカーだ。
 四軒目のレコード店で僕は訊ねた。
「あの、プレーヤとかスピーカーっていくらくらいするんですか?」
 と。
「これから揃えられるんですか?」
「はい」
「ご予算は?」
「安いのでいいんですが」
「一体型なら二万円からあると思うけど、でも音質はそれなりですよ」
「二万円からですか?」
「音には期待しないでくださいね」
「はい」
 音にこだわりはない。
 
/838ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ