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背徳のキス
第2章 1話目
“あーー癒されますわ。
日々の疲れが吹き飛ぶ。”
容姿端麗なマーメイドとマーマン達のコーラス隊の美声を最前席にて堪能したレヴァイアタンは、至極満足そうな笑みを浮かべると、豪奢なコンサートホール会場から出てきた。
カラフルなサンゴ礁
攻撃性皆無で穏やかに遊泳する、可愛いらしい小型の海水魚
七色に輝くリュウグウノツカイ
宝石のように美しい人魚の宮殿、その周辺に立ち並ぶ、娯楽施設や飲食店。
それらは全て魔界の広大な海には存在しないもので、その美しい景観は魔界の生活にほとほと疲れ果てたレヴァイアタンの心身を隅々まで癒していくのであった。
“あー...帰りたくねえ.....転移が超絶ダルッ...
逃亡したい....”
メインストリートで買い物も済ませ、もうここに留まる必要性は全く無いのだが、家(魔界)に帰りたくなさすぎて、現実逃避に走った彼は当てもなく遊泳を始めたのだった。
それから15分も経つか経たないかという
頃だろう、人魚の宮殿から大分離れた洞窟から小声ではあるが、歌声が聞こえてくるのだ。
不協和音でしかない、調子外れの歌声が。