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背徳のキス
第2章 1話目
“壊れたオルゴールより酷いな。
しかし一体誰が?...調べるか...“
大変失礼な感想を抱きながら、彼は野次馬根性丸出しで、音感が欠落した歌声の持ち主が居るであろう洞窟へと近づいていく。
”え、人魚?マジで?信じられん“
レヴァイアタンは薄暗い洞窟を覗き込んだ。
後ろ姿だが、その姿は紛れもない女の人魚、マーメイドだったのだ。
「ンゴォッ...ゲッホゲッホゲッホ...」
そして唐突に喉に餅でも詰まらせたような声を発すると、その人魚は咳き込み始めたのだった。どんな歌い方をしたらそうなるのだろう。不思議だ。
“wwwひぃいいいwwwもう無理www下手過ぎwww“
そしてレヴァイアタンは、耐えきれず吹き出した。ゲラゲラゲラゲラ豪快に。最終的に涙を溢して大爆笑である。本当に最低な奴だ。
「だ、誰!?」
レヴァイアタンの馬鹿デカい意地悪な笑い声が人魚の耳にも届いたらしい。
振り返った彼女は、羞恥で赤らめた顔をレヴァイアタンに向けた。しかし依然として彼は腹を抱えて笑い続けており、彼女の姿を視界にすら入れていなかったのだ。
「wwwひぃいいwww腹痛えwww
ちょっ、ちょっと待ってwww」
そして一応彼女に返答はしたが、笑いが収まらなくなってマトモに喋れなくなっているという残念な有り様である。
そんなレヴァイアタンの無礼千万な態度に、人魚はじわじわと怒りが込み上げっていた。