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背徳のキス
第2章 1話目
..........という経緯を経て、彼らの怪しげな取引きは秘密裏に行われ、本日を含めて通算5回目となる。
彼らは、すっかり顔馴染み程度に仲良くなってしまった。
が、レヴァイアタンはジェドに「レヴィ」という偽名を使用し、「魔界生物である」という事のみを明かした。
一応、友人だと思っているが、信用はしていないのである。
「やぁ、久しぶりじゃないか。レヴィ。」
人魚の棲まう絢爛豪華な城から1km程離れた場所にある大きな岩窟。その入り口に掛けられた、すみれ色の暖簾を潜ると、ジェドは貼り付けたような営業スマイルを浮かべた。
「久しぶり。中々忙しくてね。」
レヴァイアタンはポーションボトルをカウンターに置いた。
魔界産特製の惚れ薬だ。記憶が飛ぶ程強力な快感を引き起こす物で、もはや劇薬に近い。色はショッキングピンク、名前はインフェルノである。
ジェドは「どうも」とそれを受け取ると、マーメイドのイラストが描かれた紙幣を4枚手渡した。
「次回、何か希望ある?」
「また今日と同じ惚れ薬くれよ。出来れば2本。」
「....あのさ、君の恋愛事情に口を出すつもりは無いけど、コレ魔界産の催淫剤の中でも効果が強力だって説明したよね?君の希望とあって調達してきているけど、常用していい代物じゃないのよ。お分かり?」
「分かってますよ、レヴィ様。使用用途は厳守してますんで。これからもよろしく頼むぜ。」
“この蛸野郎、絶対碌な使い方をしてねえな....”と思いながらも、レヴァイアタンは手渡された紙幣を受け取るだけで、それ以上踏み込んだ話はしなかった。
所詮、利害関係の一致で成り立っている友人関係だ。それ以上の深入りはお互いにとって無意味なものである。
彼は紙幣を握り締めると、ジェドの岩窟へ背を向けて、人魚の城へと向かったのだった。