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背徳のキス
第2章 1話目
「出て行って!!!!」
彼女の激しい怒号が響き渡った。この状況になってレヴァイアタンは、初めて彼女の姿を両の目で視認したのだった。
不揃いな金の短髪
顔の右半分を覆い尽くすように巻かれた包帯
所々、鱗の剥がれた下半身
そして涙目になったペリドットの左の瞳
”ヤべッ。謝らないと“
途端に引っ込んだ笑いと入れ違いに生まれた後悔が彼の心を徐々に侵食していく。
「ご、ごめん「出て行って!!」
このままではまずいと焦ったレヴァイアタンの謝罪の声は、人魚の金切り声に掻き消され、小型の手鏡がレヴァイアタン目掛けて飛んでくる。
「ご、ごめん。あんなに豪快に笑っておいてアレだけど、君を泣かせるつもりは無かったんだ...ごめんよ」
持ち前の身体能力で攻撃をヒョイっと交わしてしまったレヴァイアタンは、申し訳無さそうな表情を浮かべながら、彼女を落ち着かせようとしたのだが...。
「言い訳なんて聞きたくない!それより出て行って!貴方の顔なんか二度と見たくない!!」
「ほ、本当悪かったって「出て行ってって言ってるでしょ!このワカメ野郎!!!」
癇癪を起こし、両手で顔を覆って号泣している彼女は、全く聞く耳を持たなかった。おまけにレヴァイアタンのエメラルドの長髪をワカメ呼ばわりだ。
「わ、分かった。帰るから。」
”そんな怒らなくてもいいじゃないか。こっちは謝っているっていうのに....。っていうか僕、サラッとワカメ呼ばわりされた?ショックなんだが“
色々彼の中で思う所はあるのだが、言い返した所で、火に油を注ぐ結果になるであろう事は明白である。
後ろ髪を引かれる思いだったが、彼は彼女に背を向けると無言で立ち去っていったのだった。