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背徳のキス
第2章 1話目
嫌々ながらも帰宅したレヴァイアタンは、魔海で唯一のオアシスへと赴いた。
アクアリウム同好会、その名も「小さい生物を愛でる会」である。
ネーミングセンスが欠片もない事は置いといて、活動内容は名前の通り、小さい水生動物を愛で、鑑賞し時折会員仲間と歓談するという、至ってシンプルものだ。
「....ただいま。」
気怠い鉛色の声を発しながら、憩いの場の扉を鬱陶しそうに開ける。
個室の中は小、中、大、様々な水槽が所狭しと並んでおり、人間界の水生生物で例えると、水草、熱帯魚、淡水魚等に酷似した小さい生き物達が各々水槽に入れられている。
ただ、そこは魔界生物なだけあって、奇抜な色や極彩色だったり、水槽内で共喰いを平気で行ったり、アクアリウム同好会会員兼飼育者の指を餌やりの際に食いちぎってくるといった野蛮な一面もあるが、その分タフな為、騒音ストレスも無ければ水温管理も不必要だ。因みに、ここはアクアリウム同好会会長でもあるレヴァイアタンが幾重にも厳重な結界を張っている為、死に急ぎの馬鹿を除けば、荒らされる心配は皆無である。