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背徳のキス
第5章 4話目



「ま、まだ僕が人魚じゃないってバレたわけじゃないよ。大分不審に思っただろうけど。」


「新種の人魚が作り話だと分かった時点で即バレますよ。というか時間の問題です。そのシェリーさんって方、二十歳なのでしょう?親族は人魚の宮殿内という自然淘汰とは無縁の世界で生きていますので、当然ご健在の筈。何らかの形で親族と連絡を取った際、彼女が新種の人魚の話を尋ねれば、100%嘘がバレます。」


「....あー...うん...そうだね。でもさ、シェリーが居た洞窟って内部には結界が貼ってあったけど、外部には無いから案外危険な場所だと思うんだよね。それこそ深海ザメに狙われてもおかしくないわけだし。だから頻繁に家族と連絡取ることは無いんじゃない?」


「頻繁に取ることは無いでしょうけど、全く取らない事はないんじゃないんですか?二十歳の娘が無事に生活しているか、普通の親なら心配しますし、特殊な人魚の世界でもそこまで薄情ではありません。つまりシェリーさんが天涯孤独の身だった場合を除き、いずれバレます。何か策は考えているのですか?」


「策っていうか、嘘の上塗りにはなるけど、聞かれたら実は下界のシャチと天界人の半魚人でかなりグロテスクな見た目をしているって事にしようかと。」



「....下界のシャチと天界人の半魚人?」


怪訝そうな顔を隠しもせず、そう尋ねてくるベローネにレヴァイアタンは、至極真面目腐った顔で説明し始めた。
シャチは、水深1000メートルまで潜る事がが可能な為、海のトワイライトゾーン(水面下200~1千メートルの中深層)に生息している人魚達と共に生活していてもおかしくはないし、クジラやサメ、ホッキョクグマすら捕食するシャチの顎の力ならばホタテ貝を噛み砕く事が出来るのも納得、海洋哺乳類最速な為、最高速度は時速80キロ、そして天界人という異界者とのハーフならば、魔法という超能力が使えるのも問題無い。端的に言えば、全ての辻褄が合うと彼は言いたいわけだった。


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