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背徳のキス
第2章 1話目


途中でレヴァイアタンは半時計周りにクルリと大きな身体を回転させれば、セミクジラの姿から、人魚の姿へと姿を変える。


すれ違う魚達が、一瞬「どういう事?」といった具合に、レヴァイアタンを一瞥したが、当の本人は見て見ぬフリをした上に「僕、最初から人魚でしたけど?何か問題でも?」とでも言いたそうな顔で、突き進んでいく。


”見えた”


眩いオーロラの光に包まれた、一等輝く城がレヴァイアタンの視界に広がる。
目も眩むような景観だ。例えるなら、フランスの世界遺産であるモン・サン・ミッシェル辺りが近い。



“では、早速行きますかな。...あ、待った。ターラー貰いにジェド君の所に寄らないと”


ターラーとは、人魚が使用している貨幣である。レヴァイアタンは人魚を装った、れっきとした悪魔であるので、持っている筈が無い。
でも、ジェドという名を持つ海の魔法使い兼商人は、物々交換という形ではあるが、親切にも彼に譲ってくれるらしい。


彼は一旦城に背を向けると、ジェドの居る岩窟へと向かった。


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