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背徳のキス
第2章 1話目
※ちょっと過去話入ります
「俺はジェドと言うんだが、アンタ異界の者だろう?」
人魚の城一帯をリュウグウノツカイと共に浮遊していた際に、レヴァイアタンはジェドと名乗る男に話しかけられた。
彼の見た目は上半身は人型、下半身は8本の蛸足、人間と蛸のハイブリッドである。
“初見で僕の正体を見破るなんて、十中八九天界人だろう。勘の鋭い奴らは下界の者とそうではない者の判別が本能で分かるっていうし。クソ、上手く化けられたかと思っていたのに。”
天界人と魔界人は基本敵対関係にある。鉢合わせてしまえば、最悪殺し合いに発展するなんていう状況はザラにある。
レヴァイアタンは自分の機嫌が急降下していくのを感じた。
「そうだけど?そういう君は、海神に遣わされた天界人かな?」
「まあそんな所だ。断絶結界を張って、人魚を守護する役目を仰せつかっている」
「大変名誉なことじゃないか。天界の海からわざわざご苦労な事で。じゃあ僕、帰るから」
皮肉たっぷりな嫌味を言い放つと、彼は不機嫌な顔を隠しもせず立ち去ろうとした。
が、その腕をジェドが慌てて掴む。
「何?帰るって言ってるんだけど?僕を追い出せて良かったじゃないか。」
「ちょ、ちょっと待て。誤解だ。俺はアンタに渡したいものがあって声掛けただけで」
「渡したい物?」
レヴァイアタンは鋭い眼光でジェドを睨み付けたが、彼の手に握られている紙幣を見て、首を傾げた。