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”She”
第2章 恋の成就。梨花さんとのセックス。

グループに合流して店を出た。
「あれ、梨花さんは」
店の暖簾をくぐって出て来たパートさんがきょろきょろする。
「門限があるから帰るって。みんな今日はありがとうって言ってました」
新人の学生さんが答える。
「主役不在じゃあ、ここで解散だな」
キッチン担当の先輩が言ってお開きになった。
僕はアパートに向かって歩いた。
歩きながら自分の手に触れた。梨花さんが触ったように指を滑らせてみる。
そこにはもう、あの時のような興奮は訪れなかった。
梨花さんにまた触れて欲しい。
僕は渇望した。
途中、バイトの帰りにもいつも立ち寄るコンビニに入った。
ビールを買って飲みなおしたら、この渇き、少しくらいは癒えるかな。
ビールのショーケースに向かうと、横並びのジュースの棚の前に梨花さんが立っていた。
ベビーピンクの薄手のニットに、ゆったりしたジーンズ、シルバーのヒール高めのパンプス。ヘーゼルブラウンに染めた肩までの髪を、今日は下ろしている。
さっきあんなにたくさん焼酎を飲んだのに、頬の赤みさえなく、やけに静かな表情をしている。
「梨花さん、門限は」
僕は心配になって、声をかけた。
梨花さんは僕に顔を向けると、小さなバックをふりふりしながら微笑んだ。
「家まで送ろうか」
僕はビールを出そうとして片手で開けていたショーケースをまた閉めた。
梨花さんは首を振った。
「今日はオールするって、旦那にオーケーもらってるの。子供も実家に泊まらせてる」
そう言って肩をすくめる。
「オール・・?でももうみんな解散しちゃったよ。梨花さんがいなくなったから」
僕は心の片隅で何かを期待しつつも、その期待に僕自身が目をそらすようにしらじらしく言った。
でも本当は、僕と二人になるためにトンズラしたって言ってくれ、って願ってた。
だって梨花さん、あなたは僕が必ず立ち寄るコンビニで、僕を待ってたんだろう?
心臓がまた、どきどきしはじめた。
梨花さんはどれだけ僕の脈拍を乱せば気が済むのだろう。
梨花さんはじっと僕を見上げて、何も言ってくれない。
僕から誘うのを、梨花さんは待っている。
梨花さん・・あなたって人は。
僕はまたビールのショーケースの扉を引き、ビールに視線を落とした。
「僕の部屋で飲みなおす?」
僕は言った。なぜかこのとき僕は、梨花さんの顔を見ることができなかった。
「あれ、梨花さんは」
店の暖簾をくぐって出て来たパートさんがきょろきょろする。
「門限があるから帰るって。みんな今日はありがとうって言ってました」
新人の学生さんが答える。
「主役不在じゃあ、ここで解散だな」
キッチン担当の先輩が言ってお開きになった。
僕はアパートに向かって歩いた。
歩きながら自分の手に触れた。梨花さんが触ったように指を滑らせてみる。
そこにはもう、あの時のような興奮は訪れなかった。
梨花さんにまた触れて欲しい。
僕は渇望した。
途中、バイトの帰りにもいつも立ち寄るコンビニに入った。
ビールを買って飲みなおしたら、この渇き、少しくらいは癒えるかな。
ビールのショーケースに向かうと、横並びのジュースの棚の前に梨花さんが立っていた。
ベビーピンクの薄手のニットに、ゆったりしたジーンズ、シルバーのヒール高めのパンプス。ヘーゼルブラウンに染めた肩までの髪を、今日は下ろしている。
さっきあんなにたくさん焼酎を飲んだのに、頬の赤みさえなく、やけに静かな表情をしている。
「梨花さん、門限は」
僕は心配になって、声をかけた。
梨花さんは僕に顔を向けると、小さなバックをふりふりしながら微笑んだ。
「家まで送ろうか」
僕はビールを出そうとして片手で開けていたショーケースをまた閉めた。
梨花さんは首を振った。
「今日はオールするって、旦那にオーケーもらってるの。子供も実家に泊まらせてる」
そう言って肩をすくめる。
「オール・・?でももうみんな解散しちゃったよ。梨花さんがいなくなったから」
僕は心の片隅で何かを期待しつつも、その期待に僕自身が目をそらすようにしらじらしく言った。
でも本当は、僕と二人になるためにトンズラしたって言ってくれ、って願ってた。
だって梨花さん、あなたは僕が必ず立ち寄るコンビニで、僕を待ってたんだろう?
心臓がまた、どきどきしはじめた。
梨花さんはどれだけ僕の脈拍を乱せば気が済むのだろう。
梨花さんはじっと僕を見上げて、何も言ってくれない。
僕から誘うのを、梨花さんは待っている。
梨花さん・・あなたって人は。
僕はまたビールのショーケースの扉を引き、ビールに視線を落とした。
「僕の部屋で飲みなおす?」
僕は言った。なぜかこのとき僕は、梨花さんの顔を見ることができなかった。

