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”She”
第2章 恋の成就。梨花さんとのセックス。

片付けが苦にならない綺麗好きに育ててくれた母親に、今日ほど感謝したことはない。
突然梨花さんが来ても、僕はさほど慌てずに済んだ。
玄関の靴は片付いてるし洗濯物は浴室乾燥にかけてあるし、ミニキッチンのシンクは洗い物もなく光ってる。
フロアランプの柔らかい灯りだけをつけたワンルームの奥に梨花さんを通して、グラスを二つと缶ビールを運ぶ。
「綺麗にしてるんだね」
一人掛けソファに座った梨花さんが褒めてくれる。
僕はベッドに腰掛け、缶をぷしゅっと開けて僕たちの間にある小さなローテーブルに置いたグラスに、ビールを注いだ。
改めて乾杯するとこれまでの飲み会が何かの茶番劇だったみたいに思えてくる。大好きな梨花さんを前にして無関心を装う、無意味極まりない猿芝居の舞台。
今は違う。
僕はもうごまかしのない視線で梨花さんをじっと見る。好きだって思いをいっぱいに込めた熱い視線でだ。
「梨花さん、来てくれてありがとう」
僕が言うと、梨花さんはビールを一口飲んで、うつむいて微笑んだ。
「コンビニに文哉くんがきてくれてホッとした。オールするって言い切って出てきちゃった手前もあるし、会えなかったら一晩中路頭に迷うところだった」
そして上目遣いで梨花さんが尋ねる。
「朝まで、いてもいい?」
その甘い呟きに、僕の中にかろうじて残っていた理性が弾け飛んだ。
梨花さんの手を取って自分の頬にあてがう。
ひんやりと柔らかい手のひらに唇を押し当てる。
僕に手をゆっくり引っ張られた梨花さんが、ソファから腰を浮かせる。
立ち上がりかけた梨花さんを抱きとめてベッドに引き入れて隣に座らせた。
あごを引き寄せて唇を重ねる。一度離して見つめ合う。梨花さんの目は潤んでほほ笑んでいる。もう一度唇にふれる。
華奢な人なのに唇はぽってり肉厚で弾けそうだ。唇が開いて僕の舌を受け入れる。柔らかなチュルンとした舌が僕のそれに絡みつく。
鼻にかかる吐息が可愛い。僕の舌はとろける。梨花さんの唾液は毒のように僕の体内をめぐって僕の細胞をめちゃめちゃに壊してくる。座っているのがやっとだ。
唇の隙間からこぼれる水音が部屋の湿度を上げる。
僕のカラダは狂ったように猛り、突き立つ。
なのに僕はキスから先に進むことができない。
恐ろしいほどの快感と、ここから先に進むことへの恐怖の間を、僕の心は行ったり来たりした。
突然梨花さんが来ても、僕はさほど慌てずに済んだ。
玄関の靴は片付いてるし洗濯物は浴室乾燥にかけてあるし、ミニキッチンのシンクは洗い物もなく光ってる。
フロアランプの柔らかい灯りだけをつけたワンルームの奥に梨花さんを通して、グラスを二つと缶ビールを運ぶ。
「綺麗にしてるんだね」
一人掛けソファに座った梨花さんが褒めてくれる。
僕はベッドに腰掛け、缶をぷしゅっと開けて僕たちの間にある小さなローテーブルに置いたグラスに、ビールを注いだ。
改めて乾杯するとこれまでの飲み会が何かの茶番劇だったみたいに思えてくる。大好きな梨花さんを前にして無関心を装う、無意味極まりない猿芝居の舞台。
今は違う。
僕はもうごまかしのない視線で梨花さんをじっと見る。好きだって思いをいっぱいに込めた熱い視線でだ。
「梨花さん、来てくれてありがとう」
僕が言うと、梨花さんはビールを一口飲んで、うつむいて微笑んだ。
「コンビニに文哉くんがきてくれてホッとした。オールするって言い切って出てきちゃった手前もあるし、会えなかったら一晩中路頭に迷うところだった」
そして上目遣いで梨花さんが尋ねる。
「朝まで、いてもいい?」
その甘い呟きに、僕の中にかろうじて残っていた理性が弾け飛んだ。
梨花さんの手を取って自分の頬にあてがう。
ひんやりと柔らかい手のひらに唇を押し当てる。
僕に手をゆっくり引っ張られた梨花さんが、ソファから腰を浮かせる。
立ち上がりかけた梨花さんを抱きとめてベッドに引き入れて隣に座らせた。
あごを引き寄せて唇を重ねる。一度離して見つめ合う。梨花さんの目は潤んでほほ笑んでいる。もう一度唇にふれる。
華奢な人なのに唇はぽってり肉厚で弾けそうだ。唇が開いて僕の舌を受け入れる。柔らかなチュルンとした舌が僕のそれに絡みつく。
鼻にかかる吐息が可愛い。僕の舌はとろける。梨花さんの唾液は毒のように僕の体内をめぐって僕の細胞をめちゃめちゃに壊してくる。座っているのがやっとだ。
唇の隙間からこぼれる水音が部屋の湿度を上げる。
僕のカラダは狂ったように猛り、突き立つ。
なのに僕はキスから先に進むことができない。
恐ろしいほどの快感と、ここから先に進むことへの恐怖の間を、僕の心は行ったり来たりした。

