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”She”
第2章 恋の成就。梨花さんとのセックス。
「・・私、すごく不安だったの」
梨花さんが僕の首筋にキスしながら囁やいた。
唇が触れた場所からゾワゾワと鳥肌が立って広がる。息が浅くなる。ハァハァ言ってしまう自分が恥ずかしい。

「会えない間に、文哉くん私のことなんて忘れちゃうんじゃないかって」

その言葉がたまらなく可愛くて僕は梨花さんをきつく抱きしめた。

「忘れるわけない。むしろ忘れられなくて・・」

梨花さんの手が、僕の背中のシャツをぎゅっとつかんだ。
「忘れられなくて他の女の子と寝たの?」

なぜはっきりわかってしまったんだろう。

僕はいきなり真を突いてきた梨花さんの顔を思わず見つめた。
嘘が苦手な僕は、そのリアクションで梨花さんの言葉を全肯定したも同然だった。

「梨花さんごめん、会えない間、他のコと、寝た」

僕は玲奈と芙優の記憶を打ち消したくて梨花さんの唇を乱暴に塞ごうとしたけど、すぐに胸を押し返された。

そうだよな、こんなこと言えば梨花さん、怒るにきまってるよな。

そう思って見下ろした梨花さんは、泣いていた。

「梨花さん・・ごめん・・もう僕は絶対に他の女の子とは会わない。梨花さんだけだ」

僕は梨花さんが悲しんでくれていることに、胸が熱くなった。
梨花さんにこれ以上苦しんで欲しくない一心で、僕は咄嗟に梨花さんに誓いを立てた。
咄嗟ではあったけど、その誓いに嘘はない。

梨花さんは頬を伝い落ちた涙を手の甲で拭うと、言った。
「自分の立場もわきまえないで、文哉君にやきもちやくなんて、私って最低だね」

自分には夫がいながら、僕が他の女といることは許せない。そんな自分をフェアじゃないと梨花さんは思っているようだった。
僕は首を振った。

「梨花さんは旦那さんと仲良ししてくれて構わない」

「文哉くん・・」
梨花さんの目が見開かれる。

「だから梨花さん、お願い。俺といる時だけは、俺のことだけ考えて?」

涙で頬に張り付いた髪を耳にかけてあげた。
梨花さんはまた泣きそうに顔をゆがめてうなずいた。

「文哉くん、好き」

心臓が爆ぜそうだ。
息が止まりそうだった。

今この時だけは梨花さんは僕だけのものだ。
気が遠くなるような幸福感に、体が舞い上がる。

梨花さんの両手首をつかんで持ち上げながら体をベッドに仰向けに寝かせた。

見下ろす梨花さんの顔はもう、僕の恋人のそれだった。

「文哉くん、好き」
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