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官能能力者 あおい
第29章 えっちな合宿:彼女のシジョウ
「あ、ここにいたんですね」
テラスで、手すりにもたれて遠くの山を見ている結城さんに、後ろから声をかける。
スラッとした体型に淡い栗色を帯びたショートヘアが吹き抜ける高原の風にくゆっている。
初夏の山々を背景になかなか絵になる光景だった。
よいしょっと、私も結城さんがいる狭いテラスに登る。

ちなみに、このテラスは、私が一昨日の晩、委員長のアレをあれした場所である。

「みんな、探していましたよ?」
「だって、まだ集合時間には1時間以上あるでしょう?そんなに急がなくても・・・。」
結城さんはこちらを見ずに言う。なんとなく、アンニュイな雰囲気だ。

「私達、今年で最後なのよね。合宿。なんか、名残惜しくてさ。
 それにしても、良くここにいるのがわかったわね?」

まあ、ここの存在は知っていたし・・・とは言えない。

「なんとなく・・・」とお茶を濁す私。
「ふーん」と気のない返事をする結城さん。

「そういえば、私も挑戦していいですか?ワイダニット」
そう言うと、え?と驚いたように初めてこっちを見た。

「どうして、結城紗栄子は高島あおいを殺したか?ですよね。
 ずばり!動機を考えてほしかったから・・・では?」

一瞬、結城さんはキョトンとした顔をしていたが、すぐに笑い始めた。

「ふふふ・・・なーんだ、わかっちゃったのね?
 誰に考えてほしいと思った?なんて、聞く必要もないよね。
 ね?聞いていい?どこで気づいたの?」
「ええっと・・・朴念仁!ってところで・・・」

そう、ぼくねんじん!
昨日の夜、私も委員長に同じことを思った。
人の気も知らないで、ぼーっとしてて!みたいに。
だから、結城さんも、きっと、同じなのだろうって。
だったら、考えられることは一つだ。

私のことを考えてほしい・・・
だからこそのワイダニットなのだ。

「そうかー。ちょっと根拠が反則チックだけど、まあ、勘もりっぱな推理よね。
 これって、誰かに話した?」

私はぶんぶんと頭を振る。

「本当はね、シナリオでは折木さんが被害者役だったの。でも、私が高島さんにしてって先生に頼んだの。先生にはシナリオを調整する権限があるからね。」

え?そうだったの?

「なんで変えたんですか?」
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