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第30章 えっちな合宿：彼女のシンジョウ

どう受け止めていいかわからなかった。
だから、戸惑って、言ってしまった。

「高島さんの目がヒント」

そう、あなたのあの目がなければあんなことしなかったのよ。
私はあなたのような人とは違うの。
違うのよ・・・。

考えにふけっている間に、新幹線は東京駅まで後３０分ほどのところまで来ていた。
トイレに行きたい・・・

「ごめんね、ちょっとお手洗いに」

言って私は立ち上がる。先程までの大貧民から変わって、今は賭けなしのポーカーになっている。

お手洗いを済ませて手を洗う。鏡を見る。
前髪が目にかかり、表情がよく見えない。自信のなさそうな女の子が映っている。

もうすぐ東京駅に着く。そうしたらこの合宿も終わりだ。
先輩と近くに居られる時間が終わる。
今まで何度も何度もセックスをしてきたけど、こんなにも濃密につながり続けた時間を持ったのは初めてだった。

今日、お別れしてから、私は果たして保つのだろうか？
ちゃんと、立っていられるだろうか？

そんな事を考えながら、手洗いスペースを出ようとすると、ちょうど向こうから来た高島さんとばったり対面した。
高島さんがちょっと気まずそうにする。
そりゃそうだろう。あなたにとって、私はとてもとても、愚かで、醜い人間だろう。

高島さんは、気を取り直すように私の目を見た。

「ごめんなさい」

彼女は頭を下げた。
なに？なに？突然、何？
あまりに驚いて、若干後ずさる。

「折木さんの好きな人・・・変な目で見て、ごめんなさい」

はい？

言われている意味が分からなかった。
何を言っているの？この人は？

私にしては珍しく、苛立ちに似た感情が湧いてくる。
なんだって？

いや、違う・・・苛立ちじゃないかもしれない。
なんだか、古い傷を触られたような、痛みに似たもの・・・？

思わず、私は高島さんを突き飛ばすようにして、黙って立ち去ってしまう。

謝られて、身の置き所がない。どう振る舞っていいかわからない。
みんな、世界の人は、私を無視するか、利用するかだった。
それ以外の私はこの世界にいる場所がない。
だけど、でも・・・

わからない・・・やっぱり、わからないや・・・。

その後、私は高島さんとはほとんど口を利かなかった。