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官能能力者 あおい
第32章 どきどき♡おうちデート:がんばれ♪乙女回路
最初に動いたのは私だった。
ガタッと本棚に背をつけて、委員長から本棚に空いた隙間を隠す。
しかし、これは最悪の手だ。

『私はここにあるものを、しっかと見ましたよ』
『意味もわかってますよ』

と言ってるようなものだ。

次に動いたのは委員長だった。
まず、お盆を持っている手がカタカタと震えた。
耳が真っ赤になり、ついで、頬、鼻の先まで朱が差す。

そして、そのまま、お盆を持って後退り・・・

バタン!

扉を閉めてしまった。

えええええ!?
ちょっと・・・ちょっとお待ちを!!

慌てて私は扉を開く。
いなかったらどうしようと思ったけど、
今度は赤い顔を白くした委員長が呆然と立ち尽くしていた。

「・・・めだ」

めだ?

「・・・見た?」

視線だけ、私の方に動かし、委員長はかすれた声で尋ねる。
ウソをつくわけにもいかず、「うん」と神妙に頷いてみる。

「・・・・ダメだ・・・。え・・・あ、あれは・・・」

なにかきっと言い訳をしようとしたのだろう。
でも言葉が続かない。
想像するにあまりある気持ちだ。めちゃくちゃ気まずい。
私もどう反応して良いかわからず、ただ立ち尽くす。

えーん・・・透子さーん・・・どうしたら・・・

またもや心の中の透子さんに泣き言を。しかし、彼女にだってどうしようもないだろう。
そう思っていたのだが、心の中の透子さんが答える。

『まあ、べつに不思議なことではないと思いますよ?年頃の男の子ですし』

メガネをかけた愛嬌ある顔で、事もなげに。
そう、あの日、書店で聞いたセリフだ。

そうだ、そうだよね。だから、私はそれに倣って

「あ・・・えっと・・・お・男の子だし・・・普通・・・なんじゃないかなあ・・・ははは」

とか言ってみる。
とにかく、委員長の動揺を鎮めてあげないと。

「あ、いや、その・・・私も、こういう小説持っているし」

って、何を言ってるんだ私は!
確かに持ってるが!
混乱する頭、ただ、一度話し出すと止められない。

「いいんじゃないかな?こういうの・・・結構・・・興奮するし」

いやー!だめー!

「え?あおいちゃんも?」

委員長の顔に血の気が少し戻ってくる。

「いや、その・・・あの、知り合いがあかつき文庫っていうレーベルの編集者で、その縁で見たというか、持ってるというか」
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