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官能能力者 あおい
第38章 間章:それぞれの文化祭①がんばれ美結ちゃん
さて、私と委員長との今後の関係も超気になるところだが、ここで、私の友人たちのそれぞれの文化祭のエピソードについてご紹介したい。
各章はそれぞれ、その友人の目線で筆を進めていくことにする。
まずは美結ちゃんだ。
☆☆☆
こんな格好にされてしまった・・・。
私は更衣室としてあてがわれた部屋の姿見を見てため息を付く。明日香は悪ふざけが過ぎて困る・・・。

もともとショートヘアだし、あおいと違って胸もそれほど大きくない。明日香いわく「男装向き!超映える♪めちゃ燃える!」だそうだ。
服装は黒のワイシャツに黒のパンツ、ついでにジャケットも黒だ。メイクのことはよくわからないが、明日香いわく、「中性的な魅力を目指したのです」だそうだ。
普段からあまり良くない目つきが、更に悪くなっているような気がする。

とにかく、今日はこれでカフェのシフトに入らないといけない。自慢じゃないが、普段の私は全くおしゃれとか、化粧とかには縁がなく、ついでに言えば興味もない。鏡の中の見慣れぬ自分にまたため息が出る。

更衣室である教室から、カフェ会場として使っている1年3組の教室までは、階段を一つ降りねばならない。その道中が何やらざわざわ騒がしい。

皆文化祭で浮かれてるんだな・・・。
正直、こういうお祭り自体はきらいじゃない。皆でアレコレ考えて一つのことを成し遂げるのは昔から好きな方だった。まあ、しかし、うちのクラスの連中はどうも悪ノリが過ぎる。そのせいか、手の方はお留守で、準備の段階から抜けや漏れが多い。

教室に着くと、まだ時間前だというのに、既に前のシフトの人が半分近くいない。
まったく・・・ため息交じりに私は残されてあたふたと働いている山本(ちなみに、シンデレラの仮装をしている)に声をかけて手伝う。

「ああ、助かる。あいつらトイレって行ったきり戻ってきやしねえ」

ふと見ると、冷やしている飲み物の在庫も少ないじゃないか。私は客足の様子を見ながら素早くバックヤードに入り補充をする。

「お前かっこいいな」
山本が言う。それが私の行為に対する褒め言葉なのか、格好についてなのかはあえて聞かなかった。
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