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官能能力者 あおい
第39章 間章:それぞれの文化祭②折木さんとバラードと
☆☆☆
特に行き場もなく、かといって、自分のクラスの催しを手伝う気にもなれず、私は喫茶室に充てられた教室でボーっと座っていた。
先輩のセッションは昼過ぎからだ。それまではミステリ研の当番も、クラスの当番もない。別に、一緒に行動しようと約束している友達もいない。
やることがない状態である。
「いきなり振られちまったよ」
後ろの席で盛大にため息をつく男の子がいる。ちらっと見てみると、見慣れない制服を着た男子と、黒いジャケットにパンツというやたらと黒尽くめのなかなかに攻めたファッションをしている若干目つきの悪い男の子が向かい合って座っている。
どうやら制服のほうが振られたらしい。
聞くとはなしに聞いていると、制服の方はどうやら気が多い性質のようで、今日始めてデートにこぎつけた女子の前で色んな子に声をかけまくったようだ。
そして振られたと。
黒尽くめの方が呆れたように説教している。しゅんとする制服男子がなかなかに滑稽だった。でも、あれくらい自分の気持ちを素直に言えたらいいんだろうな・・・。
そうしたら、先輩から『何考えているかわからない』とか言われないのかな。
とうとう、黒尽くめが止めの一言を放った。
「女子ってのは一緒にいる男子には自分だけを見ててほしいものだろが!」
そうだよね。私もそう。先輩に私だけを見て欲しい。私を見ていて欲しい。
よく考えたらそんな風に言ったことはなかった。なんか、いつも計算していた。どうすれば、うまくいくか、と。
どうやら、黒尽くめと制服は仲が良いらしく、これから一緒に星稜祭を回るようだ。
「いつまでも、考えていても伝わらないか」
私は独り言のように言った。実際には自分を励ますように。
きっと、高島さんならそう言うだろう。
特に行き場もなく、かといって、自分のクラスの催しを手伝う気にもなれず、私は喫茶室に充てられた教室でボーっと座っていた。
先輩のセッションは昼過ぎからだ。それまではミステリ研の当番も、クラスの当番もない。別に、一緒に行動しようと約束している友達もいない。
やることがない状態である。
「いきなり振られちまったよ」
後ろの席で盛大にため息をつく男の子がいる。ちらっと見てみると、見慣れない制服を着た男子と、黒いジャケットにパンツというやたらと黒尽くめのなかなかに攻めたファッションをしている若干目つきの悪い男の子が向かい合って座っている。
どうやら制服のほうが振られたらしい。
聞くとはなしに聞いていると、制服の方はどうやら気が多い性質のようで、今日始めてデートにこぎつけた女子の前で色んな子に声をかけまくったようだ。
そして振られたと。
黒尽くめの方が呆れたように説教している。しゅんとする制服男子がなかなかに滑稽だった。でも、あれくらい自分の気持ちを素直に言えたらいいんだろうな・・・。
そうしたら、先輩から『何考えているかわからない』とか言われないのかな。
とうとう、黒尽くめが止めの一言を放った。
「女子ってのは一緒にいる男子には自分だけを見ててほしいものだろが!」
そうだよね。私もそう。先輩に私だけを見て欲しい。私を見ていて欲しい。
よく考えたらそんな風に言ったことはなかった。なんか、いつも計算していた。どうすれば、うまくいくか、と。
どうやら、黒尽くめと制服は仲が良いらしく、これから一緒に星稜祭を回るようだ。
「いつまでも、考えていても伝わらないか」
私は独り言のように言った。実際には自分を励ますように。
きっと、高島さんならそう言うだろう。