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官能能力者 あおい
第39章 間章:それぞれの文化祭②折木さんとバラードと
☆☆☆
「お前、リハも見に来ていただろ」
私は黙ってうなずいた。
先輩に促されて、そのまま階段を上がって屋上にきていた。ここにはほとんど他の生徒は来ない。
なにか言わなくちゃ・・・。そう思っても声が出ない。
喉がカラカラに乾いて、舌が張り付いてしまったようだ。
時間だけがすぎる。私はうつむいたままじっと立っていることしかできなかった。
ただ、体の前で組んだ手はギュッと握られ、うっ血しそうなほどになっている。
先輩は少し、待ってくれていたようだが、腕時計を確認して、「そろそろ出番だ」と言う。佇む私の横を通り過ぎ、昇降口に降りていこうとする。
行ってしまう!
私はギュッと目をつぶって、最後の勇気を絞り出す。
「待って!」
「あ?」
先輩が立ち止まり、こっちを振り向いてくれた気配がした。
怖くて、顔を見ることができない。
「ごめんなさい」
背中を向けたままで頭を下げる。
「大事な、セッションの前にウロウロして・・・ごめんなさい。」
違う・・・こんな事言いたいんじゃない・・・。
「勝手に来て、ごめんなさい」
違う違う・・・。
涙が溢れてくる。こんな事を言いに来たんじゃないのに・・・。
「ああ・・・。別に、いいよ」
先輩がまた、動く。今度こそ、行ってしまう。リノリウムの床に上靴がこすれる音。
階段を降り、徐々に小さくなる。
ダメだ・・・ダメだ・・・。
高島さん!
なぜか思い出したのは高島さんのことだった。
『好きです、とか・・・大好き・・・とか?』
『怖かったよ・・・。怖かったけど・・・自然と、口から、勝手に・・・溢れちゃって』
私の・・・気持ち。溢れる・・・気持ち・・・。
ぎゅっと、手を握りしめる。
「先輩!!!」
くるっと後ろを振り返る。階段を降り始めていた先輩が足を止めた。
「セッション、頑張ってください!」
そのまま、佐々木先輩はフッと手を上げた。また、ゆっくり階段を降り始める。
「大好きです!!!!先輩が誰を見てても・・・・」
だんだん声が小さくなる。
「私を見てくれていなくても・・・。本当に・・・大好き・・・です」
先輩は見えなくなった。
「お前、リハも見に来ていただろ」
私は黙ってうなずいた。
先輩に促されて、そのまま階段を上がって屋上にきていた。ここにはほとんど他の生徒は来ない。
なにか言わなくちゃ・・・。そう思っても声が出ない。
喉がカラカラに乾いて、舌が張り付いてしまったようだ。
時間だけがすぎる。私はうつむいたままじっと立っていることしかできなかった。
ただ、体の前で組んだ手はギュッと握られ、うっ血しそうなほどになっている。
先輩は少し、待ってくれていたようだが、腕時計を確認して、「そろそろ出番だ」と言う。佇む私の横を通り過ぎ、昇降口に降りていこうとする。
行ってしまう!
私はギュッと目をつぶって、最後の勇気を絞り出す。
「待って!」
「あ?」
先輩が立ち止まり、こっちを振り向いてくれた気配がした。
怖くて、顔を見ることができない。
「ごめんなさい」
背中を向けたままで頭を下げる。
「大事な、セッションの前にウロウロして・・・ごめんなさい。」
違う・・・こんな事言いたいんじゃない・・・。
「勝手に来て、ごめんなさい」
違う違う・・・。
涙が溢れてくる。こんな事を言いに来たんじゃないのに・・・。
「ああ・・・。別に、いいよ」
先輩がまた、動く。今度こそ、行ってしまう。リノリウムの床に上靴がこすれる音。
階段を降り、徐々に小さくなる。
ダメだ・・・ダメだ・・・。
高島さん!
なぜか思い出したのは高島さんのことだった。
『好きです、とか・・・大好き・・・とか?』
『怖かったよ・・・。怖かったけど・・・自然と、口から、勝手に・・・溢れちゃって』
私の・・・気持ち。溢れる・・・気持ち・・・。
ぎゅっと、手を握りしめる。
「先輩!!!」
くるっと後ろを振り返る。階段を降り始めていた先輩が足を止めた。
「セッション、頑張ってください!」
そのまま、佐々木先輩はフッと手を上げた。また、ゆっくり階段を降り始める。
「大好きです!!!!先輩が誰を見てても・・・・」
だんだん声が小さくなる。
「私を見てくれていなくても・・・。本当に・・・大好き・・・です」
先輩は見えなくなった。