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官能能力者 あおい
第40章 透子の嫉妬大作戦
こんな調子で、あちこちの店を回ったり、映画館でパンフレットを取ったり、UFOキャッチャーで人形を落としたり、カフェで軽食をとったりと、私達の「デート」は続いた。

そして、夜も7時を回ったころ。
「最後の作戦よ。ファイナルポイントに移動する」
ファイナルポイントとは、駅チカのちょっと静かな公園だ。
ここで、いい雰囲気を出して、ダメ押しをしようというわけである。

公園のベンチに座る。白銀の街灯が私達を照らし出している。
明日香によると、少し離れた所、ちょうど私の左後ろ辺りに委員長がいるようだ。

「いやー今日は楽しかった」
透子さんが満足気に言う。やっぱり、自分が楽しみたかっただけでは?
そして、くるっとこちらを向くと、いたずらっぽく笑う。
「あおいちゃんは?」
「え・・・えと・・・楽しかった・・・かな?」
目が泳いでしまう。確かに透子さんといるとほっとできるし、デート自体は楽しかった。でも、それ以上に、委員長の嫉妬心を煽るというのに罪悪感がある。

胸が苦しい。

ちょっと険しい顔をしていたのだろう、透子さんが心配そうな表情を見せた。
「大丈夫?調子悪い?」
そう言って、額に手をあててくる。いや、熱があるわけじゃあないんだけど・・・。

しかし、透子さんの男装は本当によくできている。見れば見るほど男の子そのものだ。
話し方や声が透子さんのままなので、別になんということはないが、黙って立っていたらまるでモデルさんのようなので、顔を近づけられるとちょっと変な気持ちになりそうだ。

明日香すごいなぁ・・・。

思った矢先、前触れなく、ぐいっと、後ろから抱きしめられる感覚した。
え?何?

まるで、透子さんから私を引き離そうとするような、そんな力強いハグ。
え?え?

私は戸惑う。
背中越しにふんわりと温かな体温が伝わってくる。

私の異変に気づいたのか、透子さんが「どうしたの?」と聞いてきたので、小声で「後ろから抱きしめられています。委員長が・・・」と言った。

途端、透子さんはニヤリと笑い、私の肩に手を回しキスをするように顔を寄せてくる。
えええ!!何する気?
動揺した私は思わず、透子さんの身体を押しのけてしまった。
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