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官能能力者 あおい
第43章 間章:科学部の日常
しばらく考え込むとぱっと目を開け、何喰わぬ顔で、部活の話に突入した。話題の転換がいきなり過ぎてついていけない。

今日の話は、3学期に控えている、各部活の活動報告会に向けた話し合いである。この高校では毎年3学期の最初に各部活動による1年間の活動報告会がある。先だっての星稜祭で科学部として出し物をしたばかりだが、活動報告会の方が実は大事である。ここできちんと成果を示さなければ来年度の予算が削られたり、下手したら「愛好会」に格下げされてしまうこともある。

ちなみに、愛好会はこの活動報告会の参加義務がないので、ミステリ研の方は心配ない。気楽なものである。

「私は、サイエンスコンクールで『漢方薬のニオイ成分による鎮静効果の検証』について発表して一応一次選考突破したのでこれを発表できると思う。」
「おお、すごいな。俺は自作のVRゴーグル上で任意の三次元データを現実に投射するプログラム開発ができたので、そのデモンストレーションができそうだな」

ふたりともなかなかすごい。そこまで言い終わると、二人して僕の方を見る。
「で?柏木は?」「柏木くんは?」

僕は基礎的な勉強をしているところなので、あまり発表できそうなことはない。強いて言えば、WEBプログラム上で惑星の運動のシミュレーションをした・・・くらいだろうか?でも、あまり面白くはない。

「いや、その・・・ちょっと・・・」
言いよどむ。それに、最近はあおいちゃんの超能力の研究の方に注力してしまい、自分のメインの研究活動ができてない。よもやあおいちゃんの超能力研究について発表するわけにはいかない。

困った・・・。

「まあ、1年なんだからしょうがないか・」
「ダメよ、恭、甘やかしちゃ。柏木くんは、この間言っていた解析力学のシミュレーションをもう少し精緻化してだしたらどう?3体問題を近似するプログラムでもいいかもよ」
「ああ、そりゃいいな・・・。でも、お前、なんか他にもコソコソ研究してなかったか?」
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