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官能能力者 あおい
第44章 ブレインハッカー:謎の侵略者
☆☆☆
秋も深まり、涼しいを通り越して寒さを感じるようになってきた。僕とあおいちゃんは並んで歩いていたが、その気温のせいか、あおいちゃんが今まで以上に僕に寄り添って居るように感じる。彼女の居る側だけが、ほんのりと温かい。
あおいちゃんとお付き合いをするまでは、こんなふうに誰かとぴったりくっついて歩くことなんてなかったので、人の体がこんなに温かいのだということを、僕は初めて知った。
「なあに?冬馬」
歩きながらつい見つめてしまっていた。視線に気づいたあおいちゃんが僕の方を振り仰いで声をかける。実験の際のちょっとした【事故】をきっかけにあおいちゃんは僕のことを下の名前で呼ぶようになった。
今の僕の視線にはエッチな気持ちはこもっていなかったはずだ。単に、気取られただけだろう。
「うううん。温かいな、と思って」
言うと、彼女は腕を絡ませてくる。肘があおいちゃんの豊かな胸に押し当てられて心地よい。そして、より密着し、感じている温かさも増した。
ニッコリ笑う彼女は、この上なく可愛らしい。
「冬馬、今週か、来週末、時間取れる?見たい映画があるのだけど・・・」
あおいちゃんが上目遣いに尋ねてくる。お願いをする時、彼女はまだまだ遠慮がちに言う。僕が断るわけないじゃないか。
「もちろん、大丈夫だよ」
まるで花が咲いたように顔が明るくなる。じゃあね、それでね、と彼女は楽しそうに見たい映画の話をする。デートプランが決まっていく。
心の中に温かな液体が注ぎ込まれていくようだ。
これを、人は幸せというのだろう。
だが、このデートプランは実ることはなかった。
僕らの幸せな時を壊そうとする、黒い影が近寄っていることに、このときはまだ気づいていなかった。
秋も深まり、涼しいを通り越して寒さを感じるようになってきた。僕とあおいちゃんは並んで歩いていたが、その気温のせいか、あおいちゃんが今まで以上に僕に寄り添って居るように感じる。彼女の居る側だけが、ほんのりと温かい。
あおいちゃんとお付き合いをするまでは、こんなふうに誰かとぴったりくっついて歩くことなんてなかったので、人の体がこんなに温かいのだということを、僕は初めて知った。
「なあに?冬馬」
歩きながらつい見つめてしまっていた。視線に気づいたあおいちゃんが僕の方を振り仰いで声をかける。実験の際のちょっとした【事故】をきっかけにあおいちゃんは僕のことを下の名前で呼ぶようになった。
今の僕の視線にはエッチな気持ちはこもっていなかったはずだ。単に、気取られただけだろう。
「うううん。温かいな、と思って」
言うと、彼女は腕を絡ませてくる。肘があおいちゃんの豊かな胸に押し当てられて心地よい。そして、より密着し、感じている温かさも増した。
ニッコリ笑う彼女は、この上なく可愛らしい。
「冬馬、今週か、来週末、時間取れる?見たい映画があるのだけど・・・」
あおいちゃんが上目遣いに尋ねてくる。お願いをする時、彼女はまだまだ遠慮がちに言う。僕が断るわけないじゃないか。
「もちろん、大丈夫だよ」
まるで花が咲いたように顔が明るくなる。じゃあね、それでね、と彼女は楽しそうに見たい映画の話をする。デートプランが決まっていく。
心の中に温かな液体が注ぎ込まれていくようだ。
これを、人は幸せというのだろう。
だが、このデートプランは実ることはなかった。
僕らの幸せな時を壊そうとする、黒い影が近寄っていることに、このときはまだ気づいていなかった。