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官能能力者 あおい
第45章 ブレインハッカー:キミガホシイ
周囲の人はざわざわとしている。そりゃそうだろう。いきなり男の子が女の子の顔に紙袋を被せたのだ。何事かと思うだろう。

「あ・・・えっと、過呼吸発作で・・・」
冬馬が適当に言い繕っているのが紙袋越しに聞こえる。
さらに、私にだけ聞こえるような小声で、周囲をチェックしている旨を伝えてきた。冬馬としてはブレインハッカーの正体を掴みたいのだろう。

でも、結果としては、分からなかったということだった。
最寄り駅を降りて、恐る恐る紙袋を外したが、性感に襲われることはなかった。さっきの一瞬の感触は確かにあのときのブレインハッカーが与えてきた感覚と同じだったので、同一人物だと思うのだが、いかんせん、周囲に人がいすぎて誰が発信源かは特定できなかったのだ。

これをきっかけとして、アチラコチラで「触手」に狙われることが増えた。例えば下校時の昇降口、例えば昼休みの購買、例えば朝礼時。

それは突然私に絡みつき、乳首を、花芯を、口や耳、尻穴などに入り込もうとする。最初に口に入られたときは声が出せずに焦ったが、すぐ近くにいた冬馬の腕を引き、なんとか対処できた。ただ、毎度毎度紙袋を被せられていたので、最近ではすっかり、「あおいちゃんはパニック障害」というより、むしろ「窒息プレイを楽しでいるのではないか」説まで出始めて困惑の極みである。

冬馬の疲労はさらに増していっていた。
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